「離婚しない男」最終回直前取材会。伊藤淳史&篠田麻里子&鈴木おさむが“NGなし”でトーク!

テレビ朝日系連続ドラマ離婚しない男―サレ夫と悪嫁の騙し愛―」(土曜午後11:30)の最終回直前となる本日3月16日に、特別上映会&NGなしの囲み取材会が行われ、主演を務める伊藤淳史、共演の篠田麻里子、脚本を手掛ける鈴木おさむ氏が出席した。

「離婚しない男―サレ夫と悪嫁の騙し愛―」は、大竹玲二氏による人気漫画「離婚しない男」(講談社ヤングマガジンKC)をドラマ化。妻の不倫を目撃し離婚を決意した主人公・岡谷渉(伊藤)が、妻・綾香(篠田)の不倫の証拠集めに勤しみ、娘の親権を獲得するために勝率1割という困難な戦いに挑む姿を描く“リコン・ブラックコメディー”だ。

1月20日に放送された第1話は、配信5日間で350万再生を突破し、1週間で424万回を記録。ABEMA、TVerをはじめとする見逃し配信において、テレビ朝日65年の史上全番組の中で、初回配信数トップの記録を樹立した。その後も勢いはとどまることを知らず、現在、第1~8話の合計再生数が2780万再生を突破している。TVerのドラマランキングでも、放送されるたびに第1位奪取を継続中と、次々と記録を塗り替えている。

伊藤もその反響を肌で感じているようで、「僕、あまりネットとか見ないんですけど、調べないのにこんなに『離婚しない男』の記事が出てくるって、本当に初めての経験で。こんなにドラマが盛り上がってくれているのは、今日来てくださっている(記者の)皆さんのおかげだなと思っています」と感謝。さらに、共演者からもこの記録のすごさを力説されたようで「配信とかに関しては、(三砂裕を演じる)佐藤大樹くんと飲んでいた時に、どれだけすごいのか熱く語られまして。お酒も入っていたのか、『とんでもないことなんだぞ!』というぐらいの勢いで、これは本当にすごいんだなと本当に実感しました。周りの人たちの評判もすごくよくて、うれしい限りです」と笑顔を見せた。

伊藤が演じる主人公・渉の妻・綾香を篠田が演じていることが、第1話のオンエアをもって解禁。篠田は当時を「 最初は不安の方が大きかったんですけど、すごく反響もあって、いろいろな方からの連絡が来て、自分の中でホッとしたというか、『よかった』という瞬間がすごくありました」と回顧。

そんな篠田を、鈴木氏も「女優の名前を発表しないって、すごく新しいというか、今の時代に合っているというか。いろいろな形があっていいと思うんですけど、ドラマもいろんな仕掛けが必要じゃないですか。チャレンジしたスタッフがすごいですし、篠田さんがこれを受けてくれたという、その決断が本当にこのドラマの成功につながっていると思います」と絶賛した。

そんな大きな反響があった第1話に関するエピソードも。「篠田さんは子育てがあって来られなかったんだけど、Twitter(現・X)で感想をリアルタイムで見ながら、全員一緒に(ドラマを)見ていたんだよね。もちろんリアルタイムでもめっちゃすごかったんですけど、変な炎上の仕方とかをしたら篠田さんに悪いなという気持ちもあったんです。水野さんが一番そのことを気にしていたらしいんですけど、主婦の方からもどんどんいい意見が書かれたツイートが流れてきて、水野さんも『よし!』と。それを見て自分も泣きそうになりました。『これは大丈夫だ』となりました」とキャスト陣の中のよさを感じさせた。

ドラマ本編でも、渉は歯が折れたり骨が折れたり、綾香はベッドシーンで首に鈴をつけたりと、振り切ったシーンが視聴者の関心を引いたよう。伊藤は「確かに面白いですよね。レントゲンカットがあったんですけど、結構お金がかかっているみたいで、だから木村☺︎ひさし監督には『ドラマの成功次第でレントゲンカットがあるかないかが決まります』と言われていたんです。なので、レントゲンカットがあったということは、まあまあ成功したんだなって思います」と裏話を明かす。

「私も鈴が大き過ぎてびっくりしました」という篠田。すると鈴木氏は「あれは監督の趣味なんですよね。すごいですよ。素晴らしい演出だと思います。だから、みんなが(アイデアを)寄せ合って、なかなかほかのドラマではないものが生まれましたね」とベタ褒めすると、これに対して伊藤も「おさむさんが、ちゃんと面白い脚本を書き上げてくれて、『あとは自由にどうぞ』と思ってくださってるので、僕たちも『さらにいいものを!』という思いが現場でもあふれていましたね」と信頼をにじませた。

篠田も鈴木氏の脚本に感化されたことがあったようで、「作品として振り切る方がより面白くなるし、そこに一生懸命自分を懸けることで、より面白さが出る。お芝居でもそんなに振り切れる作品もないじゃないですか。すごいチャンスだなって思いましたね」と心境を告白。さらに、「鈴一つにしても、提案された後に、『どうやってもいいですよ』と言ってくださって、結構自由にやらせていただくことが多かったんですよ。なので、『鈴に反応するか反応しないかは本人で決めてくれ』という感じで、自分の中でああやって振り切るのが綾香だなと、一つ一つその場で作り上げていく楽しさがあった現場だなと思います」とコメントした。

伊藤はそんな篠田との共演シーンで戸惑ったことがあったそうで、「『痛いの痛いの飛んでけ〜』っていうカットがあって、渉に向かって綾香がすごい顔で言うんですよ。今までいろいろな作品に出させていただいて、役者さんのアドリブに動じて芝居できないことがあまりなかったんですけど、さすがに『え?』ってなっちゃって、衝撃でしたね。麻里子なのか? 綾香なのか?と思わせるぐらい(笑)、お芝居を越えるようなものが、現場でも生まれていたなっていうのはすごく思いました」と篠田の振り切った演技を称賛した。

そんな2人の演技を見た鈴木氏は「これでもかというぐらい、どんどんひどいことが起きるサレ夫の渉は、相当な伊藤くんのハマり役だと思いました。篠田さんはこの役をやることを決めていただいて、ベッドシーンも結構多かったと思うんですけど、そのベッドシーンを書くのってすごい難しくて…」と意外な苦労を明かす。「篠田さんに『これはお芝居なんだ』って絶対に思わせないといけないので、一応、ちゃんとセリフで書いているんですよ。でも、僕は育児しながら描いていたので、『子どもの横で何書いてんだろう?』って(笑)。でも、ちゃんとそれをセリフにすることが脚本家としての意地であり、それが篠田さんが演じてるんだと言い切れるようにちゃんとセリフで起こされていることが大事なのかなと思いました」と真剣な面持ちで語った。

すると、鈴木氏は「第1話はすごく話題になって、うちの息子が見たいって言い出して。そうしたら、うちの奥さんが『1回私が見る』と言うんで、見てから感想が来たんですよ。『すっごく面白かった。すっごく面白かったけど、息子に見せたらぶっ殺す』と書かれていて…」というエピソードに、会場からは笑いが。しかし、「でもそれがいい。今の時代にテレビでそれをやってるというチャレンジが素晴らしいと思います。テレビ朝日の勇気がすごい。唯一無二じゃないですか」とあらためて感慨にふけった。

伊藤も周囲のリアクションに関して触れ、「(子どもの)送り迎えとかをしていると、結構ママ友の皆さんに気を使っていただいていて。仕事のこととか一切触れないし、『おはようございます』『さようなら』みたいな感じで、ここ何年もずっとそういう付き合いしていたんです。なのに、この作品だけ『…見てます。最高です。めちゃくちゃ面白いです…!』って。子どもの習い事とかでも、ママ友でもない、あいさつするぐらいの人が『すみません…見てます」と言われるんです。だからすごいんですよね。『子どもに影響を及ぼさないか』とか『こんなドラマに出てるのか!』と実は一番受け入れてもらえるか不安だった方々だったので、そういう方たちにも届いて、『本当にドラマが面白い!』って言ってくれるのが、もううれしくて、やっていてよかったなと思いますね」と明かし、喜びをかみ締める一幕も。

記者からの質問では、原作のある本作で脚本家として意識されたことを聞かれた鈴木氏。「まず、この原作を見て自分が面白いと思うこと、そして伝えたいと思うところを大切にする。そして原作に対しての愛情を持つ。僕はプロデューサーを信じているので、そのプロデューサーが原作者と向き合って変わっているところもある。今日の最終回も実は大きく変わっていて。それは『こういう物語もいいんじゃないか』という僕なりの提案を1回させてもらって、当然その提案に対して『違うと思う』って言われたらやめるべきなんです。だけど、『離婚しない男』という漫画から始まったこのドラマを、やっぱり僕としては『こうなっていたらドラマ版は面白いな』『もしドラマ版がこうなら、漫画版も最後に読んでみようかな』と思わせる気持ちがすごく大事だと思っています」と回答した。

今回、原作の大竹玲二氏からもリアクションがあったようで、「今回、セリフとかも僕なりのセリフになっていますけど、原作の作家さんが途中で『すごく面白い』と言ってくれていて、僕はその言葉を信じてやりました」と話し、「もちろん原作通りにやるのは、それで素晴らしいですけど、そこからちゃんとみんなで理解した上で、『ドラマ版はこう。漫画版はこう』という漫画を原作にした作り方も僕はあると思うし、そこも怖がって逃げちゃいけない。大事なのは、お互いがちゃんと納得して、ドラマ版の漫画の原作ファンや作者が面白がってくれることだと思います。そこをお互いに面白がる気持ちがあれば、僕はすごくいい結果になると思いますし、今回はそう言う意味では一つの成功例になるといいなと思います。これでドラマの原作がたくさん読まれれば、僕らも幸せだなと思っています」と、昨今話題になっている原作とドラマの問題にも触れながら、自身の見解を述べた。

篠田は、この作品への葛藤についてあらためて聞かれると、「まず、見え方も含めてそうですけど、どう思われるだろうとか。自分の家族も、子どももいる。そういう意味での葛藤もすごく、その中でチャレンジしてみたいっていう気持ちとの葛藤だったり。やっぱり名前を挙げていただいてうれしく、それに応えたい。でも、自分にできるのかなっていう葛藤…本当にいろんな葛藤があって」と前置きしつつ、「ただ、全体的に見た時に、今の自分が全力で何かに向かって一つの作品を作り上げるって、これは全力でできるんじゃないかなって考えたことが、1歩踏み出そうと思ったきっかけではあったなって思います。なので、葛藤って言っても、本当にいろんな感情で、一概にこれっていうふうには言えないんですけど。自分の人生においていろんな経験って、こうやってお芝居とかそのセリフ一つ一つでも、自分の中に腑(ふ)に落ちる部分があったりとか。言いづらい部分もあったりするんだけど、その葛藤を乗り越えた先に、何か希望みたいなものが見えてくるというか。自分もそうだし、見てる方たちも何か一つ一つたぶん違う感情で見てくださるとは思うんですけど、自分の人生を振り返るような、そんなきっかけになってもらえてたらいいなみたいな感覚ではありました」と思いを巡らせながら答えた。

物語が進んでいくにつれて、渉と綾香が住むマンションの隣の部屋に引っ越してきた謎多き美女・竹場ナオミを演じる藤原紀香や、司馬マサト(小池徹平)がマネジャーとして働く芸能プロダクションの社長・大洗美子に扮(ふん)する観月ありさの出演と、それぞれの怪演ぶりも話題になった。

藤原と共演した伊藤は「最初会うまでものすごく緊張したんですよ。『藤原紀香だ! うわ、どうしよう!』と思ってすごくドキドキしていたんですけど、会ってみたらすごく気さくで、何よりこの役、この作品をすごく楽しみにしてくださっていたんです。もう思いっきりやらせてもらいましたね。(シーンの撮影を)待っている間もお話をさせてもらいました」と共演シーンを振り返る。

また、キスシーンでは印象的な出来事があったようで「紀香さんが転んでキスしたシーンがあって、そこはスローで撮ったんですけど、バウンドしてるんですよ。キスシーンでバウンドってあまりしないじゃないですか。でもそれが撮れたのは、紀香さんが積極的にやってくださったり、前向きな気持ちのおかげだなと思っています。短い時間だったんですけど、出てくださってうれしかったです」と、感謝の気持ちを伝えた。

第8話で観月と共演した篠田は、「さすがだなと。小さい頃から見ていた女優さんで、共演できたこともうれしかったですし、カメムシのシーンでもビリビリにこんなに反応するんだって。私としては見ていてどんどん気持ちが落ちていくシーンだったんですけど、すごく尊敬のまなざしで見ちゃって(笑)。一緒にお芝居させていただけて本当にうれしかったですし、その時はリアクションの大事さをすごく感じたシーンでしたね」と、先輩の演技から大いに学んだことがあったようだ。

ここで「これ言っていいのかな…」と話を切り出した鈴木氏。「ドラマが始まって何話か終わって、いきなり数年ぶりに片岡愛之助さんから連絡が来て。『ドラマ最高です! 妻がお世話になりました』と。『俺は何をさせているんだ!』と思いながら、『ありがとうございます!』と真面目な答えしかできなくて、びっくりしました。とんでもない役をやらせてしまったと思いました」という告白に、会場は笑いに包まれた。

取材会では、本作の主題歌「Frozen Butterfly」を歌うWOLF HOWL HARMONYがサプライズで登場。楽曲への熱い思いを抱く伊藤は「本当に大好きな曲で、家でいつも聴いているんですよ。ドラマでも曲が流れ始めて、まず『もう終わり!?』となって。そこから全部物語を知っているのに、次回が気になるんですよね」と言って、笑いを誘った。続けて「だからそれはもう本当に曲の力ですよね。もちろん編集とかいろんな要素があると思うんですけど、やっぱりあの曲のおかげで次も見たいっていう気持ちの盛り上がりをちゃんと持たせてくれているなと思っていて。毎回最後の最後までワクワクしながら、あの曲が流れてくるのを楽しみにドラマ見てるって感じもありました」と熱弁。

WOLF HOWL HARMONYのRYOJIも「僕たちは4人で今共同生活をしていて、同じリビングのテレビで4人で集まって、毎週リアルタイムする日課みたいなものも、今日でなくなってしまうと思うと、すごく寂しい気持ちもあります。今日は1時間スペシャルということなので、思いっきり夜ふかしして、最後の最後まで楽しんでいきたいなと思っております」と期待を込めた。

伊藤や篠田が感激する中、WOLF HOWL HARMONYは主題歌を生パフォーマンス。さらに、本作に出演する佐藤大樹がTikTok用のオリジナルダンスを考案したということで、こちらも披露してみると、伊藤からは「一生できない…」という声が。すると、「今日、僕たちからちょっとお願いが…」とWOLF HOWL HARMONYの4人から篠田とコラボレーションすることを提案。「いいんですか!?」と声を上げた後、ダンスを披露した篠田には会場から温かい拍手が送られた。

取材会の最後には、あらためて3人から、視聴者に向けてメッセージが送られた。

鈴木氏は「僕は放送作家を32年やってきまして、いろいろな脚本を書いてきましたが、伊藤くんとも何度か本当にお世話になりまして、今回篠田さんとこのような挑戦した作品にのっていただいて、感謝しております。地上波連続ドラマ最後となったこの作品が、このようにたくさんの人に見ていただいて、話題になって、本当に作り手としては最高の人生だと思っております。今日の最終回、さらに跳ねてたくさんの人が見ていただいて、なんとかトータルで3000万再生とかいけたらいいニュースになるな、なんて思っております。数字にこだわる訳じゃないですけど、やっぱり数字ってうれしいですから。たくさんの方に見ていただいて感謝しております。今日も最終回、ぜひ見ていただきますように!」と最後の言葉を結んだ。

体当たりで挑んだ篠田は「この作品に携われて本当にうれしく思いますし、この作品の最終話も含めて、ぜひ皆さんに見てほしいところもたくさんあって。この作品をやった時に、大人になるとできなくなった“許す”みたいなことが、すごく勉強になったな、学びがあるなと、考えることができて。最終回を見ていただけたら、絶対に皆さんの心に響くものがあると思います。見ていただけたらうれしいですし、この作品に出合えたことが、自分の中でも本当にありがたいなと思います。最後の最後までぜひ見てください。よろしくお願いします」とコメント。

主演の伊藤からは「ドラマが始まる時に力を入れていろいろな宣伝をやることって多いんですけど、最終回に向けてこういう場を開いていただけることってなかなかないと思っていて。これは、やっぱり多くの皆さんに見ていただいていて、楽しんでもらえている証なのかなと、少しだけ今実感しております。最終回は本当の愛をテーマにした、全く別物に変わっているようなドラマにもなっているなと、個人的には感じていまして。最後の最後まで、1人でも多くの方に見ていただいて、心に届く作品になったらいいなと思います」と、会見を締めくくった。

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