『バービー』にも影響を与えた全米興収5位の大名作『天国から来たチャンピオン』 アカデミー賞9部門ノミネートも納得の面白さ

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名作ヒューマン・コメディ『天国から来たチャンピオン』

『天国から来たチャンピオン』という映画を観たことはなくても、ウォーレン・ベイティの名前は聞いたことがあるだろう。アメリカン・ニューシネマの金字塔『ボニーとクライド/俺たちに明日はない』(1967年)でクライドを演じ、のちに監督や脚本家、プロデューサーとしても活躍したハリウッドの大スターだ。

ベイティは舞台~テレビで活躍した後に映画に進出し、主演兼製作の『俺たちに明日はない』でアカデミー賞を受賞。トントン拍子に名声と財産をゲットするが、その後も攻めた作品選びで映画人としてのセンスを発揮。そんな彼のフィルモグラフィの中でも絶対に外せない、かつサクッと観られる名作が『天国から来たチャンピオン』(1978年)だ。あらすじはこんな感じ。

アメフト選手としてスーパーボウル出場が決まった主人公のジョー。しかし、自転車で道路を走っていたところトンネル内で車に轢かれてしまい、気がつくと天使(※スーツ姿のおっさん)に付き添われて、天国行きの中継地点を歩いていた。しかし、天使の上司(※スーツ姿のじいさん)にしつこく確認すると天国行きは初心者天使のミスで、実はあと50年寿命が残っていることが判明する。

喜び勇んで下界に戻るジョーだったが、なんと自分の肉体はすでに火葬された後だった! そこで、間もなく死ぬ運命の大富豪の肉体に乗り移ることになるが、その過程で出会ったベティという女性に惹かれたジョーは、財力をいかして大胆な作戦を次々と実行するが……。

あの『バービー』にも影響大!? ブっ飛んでるだけど破綻してない面白さ

『天国から来たチャンピオン』は、『グリース』や『アニマル・ハウス』、『未知との遭遇』、そして『ダーティファイター』(※イーストウッドがオランウータンと共演した珍作)に次ぐ、1978年の興行収入5位を誇る(box office mojo調べ)。しかも第51回アカデミー賞で9部門にノミネートされ2部門で受賞という、初監督とは思えない快挙を達成した。

本作は予算がかかるシーンはまんま映すことを巧みに避けていて、地味になりがちな中継ポイントは珍プレー好プレー的なやり取りで繋ぐなど、映画としてのバランスがすこぶるイイ。その割には序盤に登場する天国行きの乗り物が巨大なコンコルド風だったりと、ツカミに関しては予算を惜しまない(?)ところも可笑しかったりする。

本年度アカデミー賞で7部門8ノミネートを果たした『バービー』のグレタ・ガーウィグも、影響を受けた作品として挙げている本作。猛烈にファンタジックかつフザけまくっているのに、物語としては文句なく素晴らしくて教訓も多いという、映画に必要なものがパンパンに詰まった名作だ。

『天国から来たチャンピオン』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年3月放送

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