世界の若手バレエダンサーの登竜門「ユースアメリカグランプリ」に中高生ら9人が「一糸乱れぬ華麗なステップ」で挑む【岡山】

4月、ニューヨークで開かれる大会に、岡山市のバレエ教室のメンバー9人が出場します。将来の夢に向かって、そして先輩たちの思いを背負って…中高生たちが目指すのは世界の頂点です。

世界三大バレエコンクールや劇団四季のダンサーを輩出

一糸乱れぬ華麗なステップ。優雅で滑らかな踊りを披露するのは、「ルツィアバレエダンススタジオ」のメンバーです。

岡山市中区海吉のレッスン場で、日々、練習に励んでいます。

指導するのは、ルツィア・チャスノホワ・吉田さん。中央ヨーロッパ・スロバキア出身の指導者です。本場のクラシックバレエを広めたいと来日し、2005年に岡山に教室を設立。

これまでに世界三大バレエコンクールの一つ・バルナ国際バレエコンクールで入賞した大森一樹さんのほか、劇団四季などにも多くのダンサーを輩出してきました。そんなルツィアさんがいま狙いを定める世界大会があります。

(ルツィア チャスノホワ 吉田さん)
「昨年から生徒たちにも、日本予選に行く=ゴールがニューヨーク。そしてゴールが世界一。力を合わせて残り1か月しっかり頑張りたいと思うから」

【写真①】

昨年10月、バレエ教室のメンバー9人が、世界の若手バレエダンサーの登竜門でスイスの「ローザンヌ」と並ぶ国際的なバレエコンクール、YAGP=ユースアメリカグランプリの出場権を獲得したのです。

「アンサンブル」という団体部門での出場。メンバーたちは週5日教室に通い、厳しい体幹トレーニングや稽古に励んでいます。

(ルツィアバレエダンススタジオ 奥山愛子さん・中学2年生)
「やはりあと1か月ってなってすごくプレッシャー」

(ルツィアバレエダンススタジオ 吉田ウィリアムさん・中学1年生)
「ニューヨークに行くっていうのは世界各地で選ばれた人が来るし、その人たちにも勝てるような技術をつけていきたいって思います」

メンバーの大半は中学生から高校生。まだまだ可愛らしい一面も見せてくれました。初めて見るテレビカメラに興味津々です。

(奥山愛子さん)「一人ひとりの個性が強くてこのメンバー。本当に強いんです」

(金万千紘さん・高校1年生)「静かに見えるけどやんちゃ」

(吉田ウィリアムさん)「わんぱく少年]

(吉田ウィリアムさん)「何事にも挑戦しちゃってよく怒られる]

(横須賀莉愛さん・中学2年生)「頼りがいのあるお姉さん風」

(岩井小春さん・中学1年生)「おてんば末っ子」

(陸田妃花さん・高校1年生)「お姫様」

(西山莉奈子さん・高校1年生)「ポジティブシンキング」

(古閑日奈子さん・大学院1年)「一番年上の古閑さん」

(井上洋子さん・中学2年生)「信念を持って、自分の意思を貫ける」

(奥山愛子さん)「明るくさせる立場」

(西山莉奈子さん)「悪いことも良いことも、いい意味で言い合えるからいいグループだと思います」

軽快な音楽とダンス スロバキアの民族舞踊で世界へ挑む

そんな9人がニューヨークで披露するのは、ルツィア先生の故郷・スロバキアの民族舞踊。酒場などで踊る「チャルダッシュ」の要素が組み込まれた軽快な音楽とダンスが特徴です。

披露するのは、馬飼いの男2人と村の娘たちが地域の祭りで舞い踊るというストーリーです。

(ルツィア チャスノホワ 吉田さん)
「踊りに対しての情熱とか、踊りの楽しさがお客さんにそのまま伝たわったら一番いいかなと。やっぱりスロバキアの民族でせっかくの私の国だから、ちょっと世界をちょっと狙いたいなと思って」

世界一を目指し日々の練習も厳しさが増していきます。ただ夢のためになら頑張れると話すのは高校1年生の金万千紘さんです。

(金万千紘さん)
「やはり先輩の大森一樹さんだったり。ファントムでオペラ座の怪人で主役をやっていた岩城雄太さん(劇団四季)って人もすごい人なんですけど。そういう人たちをやっぱり尊敬しています」

将来の夢は「劇団四季への入団」。自宅でのトレーニングも欠かしません。

(金万千紘さん)
「ひとつの動きにおいても何かしらの改善点は絶対にあるから。本番ではいつもの自分じゃなくて役に入った、スロヴァキアの楽しい奴らみたいな演技を込めた踊りをできればなと思ってます」

そして、もう一人強い思いを持って大会に臨む高校生がいます。西山莉奈子さんです。

(西山莉奈子さん)
「私の中でも先輩方の中でもいろいろ頑張ってきた作品だった。やっぱりコロナウイルスが来てしまったのでニューヨークに行けなくなってしまって」

実は…この民族舞踊を取り入れた踊りで2020年のニューヨーク大会への出場が決まっていましたが、新型コロナの影響で中止に…当時中学1年だった西山さん。涙を呑んだ先輩たちの姿を間近で見てきました。

(西山莉奈子さん)
「中学校1年生の時にはなにもできていなくて。このスタジオで頑張ってレベルを高めて。今回リベンジということで、新しい仲間とみんなと頑張ることができて幸せです。自分のできる範囲で頑張っていきたい」

それぞれの思いを背負って挑むニューヨークの大舞台。子ども達が出場する「ユース・アメリカ・グランプリ」は、4月10日から行われます。個性が光る若きダンサーたちが、いま世界に羽ばたこうとしています。

【スタジオ】
一般的にイメージされるクラシックバレエとは異なり、小道具や楽器も使う民族舞踊。バレエの中では、「キャラクターダンス」と呼ばれています。

物語の登場人物や、世界観、異文化を深く理解し演じる必要があるため、「洗練されたパフォーマー」に成長するために、不可欠な踊りの1つなのです。

スイスの「ローザンヌ国際バレエコンクール」と並ぶ若手バレエダンサーの登竜門のひとつYAGPは、4月11日から21日にNYで開催予定です。

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