株式投資とは、大きなお金を賭け、損失を被るリスクを背負いつつリターンの獲得を目指す行為です。過度なプレッシャーや高揚感によってメンタルを病んでしまったり、体に異変が出てしまったりすることも、ないとはいえません。そこで本稿では、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏が、株式投資でメンタルを病まないための「4つのコツ」を紹介します。
常に一定の現金を残しておく
今回のテーマは「メンタルを病まないためのコツ」です。まず挙げたいのは、常に一定の現金を残しておくことです。現金の価値は、株価と違って変化しません。インフレやデフレによって現金も相対的な価値が変わることはありますが、株価の変動と比べて、それは微々たるものです。そして、そんな現金が一定以上あるということは、心に余裕をもたらします。
たとえ保有株のすべてが大暴落し、その価値が30%減ったとしても、50%減ったとしても、「まだ現金が残っている」ということが心の余裕となるのです。
また、常に一定の現金を残しておけば、相場が冷え込んでいる時期をむしろ、株を買う「チャンス」にすることができます。みんなが悲観して株を投げ売りしている時期にそれを買えれば……、そのあとどうなる確率が高いかは、おわかりでしょう。
常に一定の現金を残しておくことは、心の余裕になるとともに、「勝つ」ためにも重要だということです。そして勝ち続けられれば、やはりメンタルも病みにくいでしょう。
自分にとって精神的に楽な手法で取引する
メンタルを病まないためのコツとして次に挙げたいのは、自分にとって精神的に楽な手法で取引することです。
ひとときもモニターから目を離さずに株価を追い続ける「スキャルピング」や「デイトレード」は精神的にきついという人もいるでしょうし、買ったらなかなか売らない長期投資のほうが精神的にきついという人もいるでしょう。チャートを分析するほうがきついという人もいれば、ファンダメンタルズを分析するほうがきついという人もいるでしょう。信用取引なんて怖くてできないという人もいれば、現物でチマチマと売買するほうがストレスがたまるという人もいるでしょう。
さまざまな手法がありますので、自分にとって精神的に楽な手法で取引をすれば、メンタルも病みにくいのではないでしょうか。
ただし、精神的に楽だからといって、勝てない手法での取引は続けないほうがよいでしょう。負けることがストレスになり、それがメンタルに悪影響を及ぼしかねないからです。
ですから、勝てる手法のなかで、自分にとって楽な手法を選ぶのがよいでしょう。なお、勝てる手法のなかに精神的に楽な手法がない場合は、「常に一定の現金を残しておく」「運用資産合計額の変化を頻繁にチェックしすぎない」「食事・運動・睡眠にも気を配る」といった点でそれを補うとよいと思います。
運用資産合計額の変化を頻繁にチェックしすぎない
メンタルを病まないためのコツとして次に挙げたいのは、運用資産合計額の変化を頻繁にチェックしすぎないことです。何といってもやはり、運用資産合計額の増減が心を刺激するでしょうから、逆にそれをあまりチェックしないことによって、心の安定を保とうということです。
週に1回と1カ月に1回、3カ月に1回など、決まったタイミングでチェックするようにして、あとは日々の企業分析や売買に集中すればよいのではないでしょうか。
運用資産合計額は、頻繁にチェックする必要があるものだとは思えません。株価やPER、PBR、配当利回りの指標、決算情報、適時開示情報など、いち早く情報を入手して売買に生かしたいデータはたくさんあります。
しかし、運用資産合計額は「自分の資産がいくらになったか」というだけのものであり、売買の判断材料になることはあまりないでしょう。もし何らかの理由で売買の判断材料になることがあったとしても、頻繁にチェックする必要はないはずです。
実はもっとも気になるデータなのかもしれませんが、メンタルを安定させるため、あえてチェックしないというのもひとつの方法なのです。
食事・運動・睡眠にも気を配る
メンタルを病まないためのコツとして最後に挙げたいのは、食事・運動・睡眠にも気を配ることです。これはつまり、肉体のコンディションを整えておく、ということです。
肉体が一定以上健康ならば、少々メンタルが不安定になっても回復しやすいでしょうし、メンタルが原因となる肉体的不調が現れることもないでしょう。そしてそうであるならば、投資を続けていくことができるでしょう。
本業がデスクワークの人や、専業投資家の人などは、特に気を配る必要がありそうです。1日中座りっぱなしのため、お腹も空きづらく、体が疲れないから夜も眠りにくくなり、食事や睡眠も乱れてしまうかもしれないからです。
ですからそういう人は、毎日意図的に運動をするようにしたほうがよいかもしれません。
株式投資は長続きするほど儲かる
株式投資でメンタルを病まないためのコツとして、「常に一定の現金を残しておく」「自分にとって精神的に楽な手法で取引する」「運用資産合計額の変化を頻繁にチェックしすぎない」「食事・運動・睡眠にも気を配る」の4点をご紹介しました。
このように多面的・複合的に心の安定を図り、株式投資を長く続けてください。長続きするほど、複利の力で資産が大きく増えていきます。
川合 一啓
株式会社ソーシャルインベストメント
取締役CTO