定年後の時間は想像以上に長い。老後生活を充実させるために、現役時代にやっておくべきこと

定年後に「やりたいこと」は何でしょうか?

ソニー生命のアンケート「シニアの生活意識調査」では、「旅行」が第1位です。でも、「旅行」といっても長くて2週間くらいです。世界一周クルージングだとしても、半年くらいでしょう。

定年後の時間はたっぷりと残っています。その時間をどうやって過ごしますか? 今回は、定年後の長い時間についてお話しをしようと思います。


寿命が延びた分、定年後の時間が増えている

定年の時間が、想像を超えて長いことを身に染みて感じるのは、定年になってからです。でも、定年になってから「何をしようか」なんて、考えているようでは遅いかも知れません。

厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」によると、1965年の平均寿命は男性が67.74歳、女性が72.92歳でした。しかし、現在(2022年)の日本人の平均寿命は、男性が81.05歳、女性が87.09歳です。比べると13歳以上も平均寿命が延びているのがわかります。

1970年代は55歳定年制ですから、60歳から年金が支給されました。定年から平均寿命の時間までは、約13年です。現在は、60歳定年制の企業が多く、65歳までは再雇用です。男性は65歳から平均寿命までは16年です。働いている時間も延びましたが、定年後の時間も延びました。

現役時代に働いていた時間よりも長い時間が老後生活

では、働いている時間と、定年後の時間を比べてみましょう。

現役時代に働いていた時間は、約8万6000時間。
(22歳から65歳まで1日8時間、年間250日働いたとします。1日8時間×250日×43年=8万60000時間)

定年後に自由に使える時間は、約10万2200時間。
(定年後の自由な時間は1日14時間とします。65歳から85歳までの20年間は、1日14時間×365日×20年=10万2200時間)

現役時代に働いていた時間よりも、はるかに長い時間が定年後に待っているのです。しっかりと老後のプランニングをしないとつまらない人生になってしまいます。

老後生活をイメージするのは「書いてみる」とわかってくることがある

拙著の『定年前後の手続きガイド2023年版』(宝島社発行)の付録に、「書きこみ式定活ノート」というのを付けたことがあります。

定年後にやりたいことは、比較的書きやすい項目です。しかし、1週間のスケジュール、1日の予定という項目になると、埋めることができないのです。このノートの目的は、スケジュールを埋めることではなくて、埋められないことに気付くことなのです。

そこから、真剣に何をしようかというモチベーションが生まれてくればということで、この付録を付けました。

では、定年後にやりたいことを決めるにはどうすればいいのでしょうか? 退職前にできることは、できるだけ老後の生活をイメージしておくことが重要でしょう。そのためには一度、自分のことを棚卸ししてみることです。

いままでのキャリア、定年後の働き方、生き方、人との交流などについて、どのようにしたいのかを考えてみましょう。とは言っても、どうやって考えればいいのか漠然としています。まず、いくつかの項目について、自分なりに箇条書きに書き出してみるのがオススメです。書くことで頭を整理することができます。

それと大切なことが「お金」です。やりたいことがあっても経済的な問題が出てきます。まず「お金」の状態を把握しておかないと、やりたいことはすべて「絵に描いた餅」になるのです。

定年後のお金がわかれば、老後生活のイメージができる

お金を把握するためには、老後資金がどのくらい用意できるのかを知っておく必要があります。もちろん退職金も入れた金額です。それと老後の収入です。老後の収入は、おもに公的年金と企業年金です。

「老後資金」についても必ず書き出しておくことをオススメします。老後生活の収支がわかれば、イメージがグッと見えてくるのです。

引退をして、趣味を続けるのか? もう少し働いた方がいいのか?も見えてきます。まずは、試しに自分のイメージを書き出してみませんか?

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