総理大臣がね…(3月17日)

 小学生の伝次郎君は、政治の動きに関心を持ち始めたようです。うれしそうに家族に報告しました。「お父さんの給料が上がるよ。総理大臣が国会で説明したんだ。『あらゆる手を尽くし、物価高を上回る賃上げを実現する』って」▼お父さんは目を細めつつ「はて困ったな」。給料を上げるも下げるも会社次第。国の指示があったとて、そうなるかどうかは分からないのだが…。確かに、国会での言い回しは、国が関与する宣言に聞こえる時もある。賃上げへの思いが先走り、発言が行政の領分を超えてしまうのだろう▼またある時、伝次郎君は人口が減ると聞いて、すごく心配になりました。今後30年間で、県民は3割も少なくなるといいます。でも、新聞を読んで少しだけ安心したようです。「国が異次元の少子化対策に取り組むから心配いらないね」。お父さんは、また考え込んでしまいました。記事を読み進めば、そうとは限らないと気付くのだが▼「伝次郎、人の言葉を信じる素直な心は大切だよ。でもね、本当にそうなのかと、疑問を持って調べてみるのも大事な勉強なんだ」。子育て予算の審議が続く国会は、さまよう父子の会話に果たして答えを出せるか。<2024.3・17>

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