会社を辞めて転職するまでの「無職」期間。「国民健康保険」への加入は義務でしょうか?

日本ではすべての国民が公的な医療保険に加入する必要がある

1961年、全国民に公的な医療保険への加入を義務付ける国民皆保険制度が成立しました。この制度のひとつが、健康保険と国民健康保険です。

会社に勤めている場合は、所定の労働時間を満たすと、雇用先の健康保険組合や協会けんぽ(全国健康保険協会)などに加入します。一方で、自営業の方や働いていない方の場合は、国民健康保険への加入が必要です。そのため、会社を辞めて無職の期間は、国民健康保険に加入する必要があります。

国民健康保険の金額は?

国民健康保険への加入とともに、気になるのは金額です。国民健康保険の保険料は、世帯ごとの計算になります。具体的には、各年度における年間の保険料は、世帯内において「国民健康保険に加入している方全員」の医療分と支援金分、介護分を合算して計算します。

なお介護分は、介護保険と同様に、40歳から64歳の加入者のみにかかる費用です。そして保険料は、区分ごとに均等割額と所得割額という算出方法があります。

均等割額は、加入者全員にかかる保険料を指し、所得割額は、前年度の所得に対して計算する保険料です。なお、均等割額や所得割率は毎年変更されるため、年度ごとの料率を、自治体のホームページで確認しましょう。

参考までに、東京都大田区の医療分の場合は、算定基礎額に7.17%を乗じて計算します。均等割額の場合は、加入者の人数×4万5000円です。なお、実際に支払う金額は「国民健康保険料納入通知書」に記載があります。

勤務先で加入する健康保険の場合は、会社と労働者の折半で支払いを行っていました。しかし、国民健康保険の場合は全額自己負担になるため、働いていたときと比較すると、高い金額を納めることになるでしょう。

国民健康保険に入る以外の選択肢

日本に住む限り、健康保険への加入が義務付けられています。しかし場合によっては、健康保険に入らないというほかの選択肢もあります。

家族の扶養に入る

家族が社会保険に加入している場合は、扶養に入るという方法があります。ただし、扶養に入るには年収制限があり、年間130万円未満であることや、被保険者の年間収入の1/2未満であることなどが条件として挙げられます。扶養に入る場合は、家族の健康保険を扱う事業者に確認しましょう。

勤務していた会社の健康保険の任意継続制度を検討する

退職後しばらくは、所属していた会社の健康保険を継続できる「任意継続被保険者制度」を利用するという方法もあります。退職日の翌日から20日以内に手続きを行うと、会社の保険に継続して加入できます。ただしこの場合は、保険料は会社と折半ではなく全額自己負担になるため、注意が必要です。なお、加入期間は2年までです。

会社を辞めた後は国民年金の手続きも必要

会社を辞めた際には、国民健康保険への加入が義務付けられていますが、あわせて国民年金への加入手続きも必要です。

働いていたときは、厚生年金の費用は会社と折半して支払っていました。しかし、会社を辞めた場合には国民年金に切り替えて、自分で納める必要があります。なお、2023年度の国民年金保険料の金額は、1ヶ月あたり1万6520円です。

しばらく働く予定がない場合は、まとめて前払いを行うと割り引きが適用されます。前払い(前納)の場合は、1年分で4150円の割り引きが適用されるため、利用することをおすすめします。

転職はスムーズに行おう

会社を辞めると、退職手続きだけではなく、各種保険の手続きも必要です。とくにしばらく仕事をしない場合は、健康保険も年金も切り替えが必要なため、事前に情報を集めておいて、すぐに動きだせるようにしておきましょう。

また、各種手続きが煩わしいと感じる場合は、期間を空けずに転職するという方法もおすすめです。退社後、すぐに新しい仕事を始めれば、収入が途切れることもなく、かつ空白期間もなくせるでしょう。

出典

大田区 国民健康保険料計算方法
全国健康保険協会 健康保険任意継続制度(退職後の健康保険)について
日本年金機構 国民年金保険料

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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