【日本学生支援機構】申込時に知っておきたい5つのポイントとは?

希望する奨学金の種類

進学後に毎月振り込まれる貸与奨学金には、第一種奨学金(利子なし)と第二種奨学金(利子あり)があります。希望する奨学金の選択肢としては、次の7パターンがあります。

__
1. 第一種奨学金のみ希望する。__

2. 第一種奨学金が不採用になった場合には、第二種奨学金を希望する。

3. 第二種奨学金のみ希望する。

4. 併用貸与が不採用な場合、奨学金を希望しない(どちらか一方のみの貸与は希望しない)。

5. 併用貸与が不採用な場合、第一種奨学金を希望する(第二種奨学金は希望しない)。

6. 併用貸与が不採用な場合、第一種奨学金を希望するが、不採用の場合は第二種奨学金を希望する。

7. 併用貸与が不採用な場合、第二種奨学金を希望する(第一種奨学金は希望しない)。

第一種奨学金だけで足りる場合でも、不採用に備えて、「2.第一種奨学金が不採用になった場合には、第二種奨学金を希望する」を選択しておくと安心です。

第一種奨学金では足らない場合、第一種奨学金を優先し、不足分を第二種奨学金で補う(併用貸与)のが良いでしょう。

ただし、第一種奨学金と第二種奨学金の両方の貸与を受ける併用貸与は、家計基準が最も厳しく、学力基準は第一種奨学金の学力基準と同じ(申込時までの全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること)ですので採用は厳しいです。

併用貸与不採用に備えて、「7.併用貸与が不採用な場合、第二種奨学金を希望する(第一種奨学金は希望しない)」を選択するのが現実的ではないでしょうか。

希望月額

第一種奨学金は、「進学先が大学かそれ以外なのか」「国公立か私立なのか」「自宅通学か自宅外通学か」により選択できる貸与月額が決まります。たとえば、私立大学に自宅から通う場合の貸与月額は、5.4万円(最高月額)、4万円、3万円、2万円となります。入力では、「最高月額」か「最高月額以外の月額」を選びます。

ただし、「最高月額」の利用には併用貸与の家計基準を満たす必要があるので留意しましょう。第二種奨学金は、2万円~12万円の間で1万円単位の金額を記入します。

奨学金は学費や生活費に利用できます。たとえば、私大文系の学費の平均は月額8~9万円程度ですので、奨学金ですべて賄うのであれば、第一種奨学金だけでは足りないので、併用貸与または第二種奨学金のみが選択肢になります。

返還方式

第一種奨学金については、「所得連動返還方式」と「定額返還方式」の2つから選びます。ただし、「所得連動返還方式」を選択する場合、保証制度は「機関保証」にする必要があります。

第二種奨学金については、「定額返還方式」となります。「定額返還方式」は返済期間満了まで同じ月額で返還するので、返還の計画が立てやすいといった利点があります。

「所得連動返還方式」は、所得に応じて返還するので、所得があまり高くないときでも無理のない月額で返還できる利点があります。

「所得連動返還方式」は、一見、合理的ですが、年齢とともに所得が増えるときは教育費や住宅ローンなどの支出も増える可能性があるので、返還が楽とはいえない場合もあります。

なお、貸与終了後は、「所得連動返還方式」から「定額返還方式」への変更はできませんので留意しましょう。

保証制度

保証制度は、学生が奨学金を返せなくなったときに、代わりに返す人をあらかじめ決めておく制度です。

保証機関に連帯保証を引き受けてもらう「機関保証」と、「人的保証」があります。「人的保証」を選ぶと、連帯保証人(原則、父母)および保証人(原則、おじ・おば等)の2人が必要になります。

「機関保証」を選ぶと保証料の負担が発生しますが、万が一返せなくなったときに保証機関が立替えて返してくれるので、連帯保証人や保証人に迷惑がかからないといった利点があります。

だからといって、学生の借金が帳消しになるわけではないので誤解しないでください(保証機関への返済の義務が発生します)。

利率の算定方式(第二種奨学金)

利率の算定方式には、貸与終了時(卒業など)に決定した返還利率が返還完了まで適用される「利率固定方式」と、貸与終了時に決定した返還利率がおおむね5年ごとに見直される「利率見直し方式」があります。

なお、返還利率は、申込時ではなく貸与終了時に決定されます。また、3%の上限が設けられています。ちなみに、令和5年3月の貸与利率は、「利率固定方式」が0.905%、「利率見直し方式」が0.300%でした。

申込時にどちらを選んでも、貸与期間が終了する年度の一定期間まで変更できます。そのとき、金利が将来上昇すると思えば、「利率固定方式」が有利です。

まとめ

上記の内容を申込時に決めるのは大変かもしれませんが、進学時に変更が可能です。また、貸与中や返還中に変更できる項目もありますので、申込時にあまり神経質になる必要はありません。

出典

独立行政法人 日本学生支援機構 奨学金

執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

© 株式会社ブレイク・フィールド社