長距離輸送業者の半数、残業上限越え 青森県内 運転手の働き方、課題山積

 物流の「2024年問題」を巡り、青森県トラック協会が県内運送業者に調査した結果、長距離輸送業者の約半数で、4月から適用される時間外労働(残業)の上限である年間960時間を超えて働いている運転手がいることが分かった。規制強化が直前に迫る中、運転手不足の解消や労働環境の改善など働き方改革に向けた課題がなお山積していることが浮かび上がった。

 調査は昨年12月~今年1月に実施。会員614業者のうち、353業者(57.5%)から回答を得た。

 長距離輸送を行う118業者のうち、年間残業時間が960時間を超える運転手が「いる」と回答した企業の割合は48.3%。

 上限超えの原因(複数回答)は「運転時間が長い輸送がある」が71.1%で最も多く、企業や物流拠点が集積する首都圏や関西圏から遠い青森県特有の事情が反映された。

 次いで「荷役作業に時間がかかる」が64.5%、「(集荷先で荷物の受け取りを待つ)荷待ち時間が長い」が56.6%など。自由記述では「人手不足で休日が少ない」ことを理由に挙げる業者もいた。

 4月からは運転手の拘束時間や休息時間を定めた基準も改正されるが、長距離輸送業者の39.0%が、4月以降も改正基準を順守できない運転手が「いる」と回答。順守できない基準として、1日当たり最長拘束時間が現行より1時間短い15時間に短縮されることを挙げる回答が目立った。

 中・短距離を含めた353業者のうち、荷主側と運賃や作業料金の引き上げを交渉したのは43.9%にとどまった。「交渉中または交渉予定」は38.5%、「交渉していない、する予定がない」は17.3%。

 「交渉していない、する予定がない」とした理由(複数回答)は、「他社の動向を様子見」が40.0%で最多。「他業者に切り替えられる懸念がある」との回答も26.7%あった。

 県トラック協会の森山慶一会長(八戸市・共同物流サービス社長)は「4月は物流業界を変えるスタートライン」と強調。「国や(荷主と運送業者の取引を監視する)トラックGメンが今後、長時間の荷待ちや運転手の労働環境を監視できるかが重要。各業者も自信を持って運賃の交渉を続けていくべきだ」と語る。

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