クマと遭遇したら?被害を防ぐには? 生態知り共生考える 青森市で専門家講演

クマの生態や対処法が伝授された講演会
経験を基にクマの生態について解説する米田所長

 青森市の県総合社会教育センターは16日、「クマを知って被害に立ち向かう」と題した講演会を同所で開いた。十和田市出身のクマ研究家でNPO法人日本ツキノワグマ研究所(広島県)の米田一彦所長が登壇。約230人が参加し、全国的に被害が広がるクマとの共生について考えた。

 「クマと3千回以上遭遇し9回襲われた」という米田所長は、自身が撮影した写真や動画を使いながらクマの習性を解説。人間の頭部を襲う傾向が強いことから、遭遇した場合は荷物を背負ったまま地面に伏せて頭頸部(けいぶ)を守るよう訴えた。また「スコップや熊手、広げた敷物などを振り回して自分の姿を大きく見せることも有効」とも述べた。

 青森県の対策としては、クマの餌となるリンゴなどの農作物を畑に放置しないよう強調。「自分たちで片付けることが難しい場合、ボランティアに頼むなどして対策を取ってほしい」と呼びかけた。秋田県境に近い十和田湖周辺は「将来的に重大な被害地になる恐れがある」と警鐘を鳴らし、特定鳥獣管理計画策定の必要性に言及した。

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