夫婦2人で駆けずり回る3歳の4つ子育児、「今日も子どもの命を守りきれた」それだけで十分【多胎育児体験談】

よつはさん(33歳)は、2020年6月に4つ子を出産したママ。現在3歳の4卵性の4つ子(長女・二女・長男・二男)と夫の6人家族です。全2回の2回目の本インタビューでは、育児と仕事の両立や、1日の家事量や日用品の消費量、4つ子育児の楽しさ、自治体の多胎育児支援について聞きました。

<1回目のインタビューはこちら↓>

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仕事から帰って寝かしつけまでワンオペ。怒涛のような1日

保育園入園当時、生後10カ月頃の4つ子

―― 働きながら、4人分のごはんを作って、4人お風呂に入れて、寝かしつけをして……、想像するだけで毎日大変そうです。育児と仕事の両立はどうしていますか?

「日中1人で子どもの面倒を見るのがきつくなってしまったので、生後10カ月頃から保育園に預けて仕事復帰しました。私は仕事に行くことがただただ息抜きになっていますね。大人と喋れる時間が本当に嬉しいです(笑)。

赤ちゃんの頃は、1人熱が出るとすぐに4人連鎖していたので最初はほとんど仕事に行けませんでした。1番ひどかったのは4人全員、嘔吐・下痢になってしまった時です。お尻がただれてしまい、おしっこをするとお尻に染みてギャンギャン泣くので、1人20-30分おきにおむつを替えていました。80枚入りのおむつが1日で3袋なくなってしまって、親戚中に電話して買ってきてもらっていました。

今は、夫が休みの水曜日と日曜日以外は、ほぼワンオペ。仕事が終わった後は本当にバタバタです。16時に一度家に帰って、ごはんを作ってからお迎えに行きます。17時に保育園へお迎えに行って、17時半に帰宅してお風呂に入れ、18時半にごはんを食べさせます。19時頃、4人で一緒に保育園の準備をしたら、寝るまでは少しゆったり過ごし、歯磨きをしてから20時に就寝します。ほとんど1人でこなしているので、1日が怒涛のように過ぎ去っていきます。両立というよりこなしている感じです。

私1人で子どもを4人を連れて買い出しに行けないので、ワンオペ時の買い物は1人で仕事帰りに済ませています。夫が一緒にいても買い物は大変ですね。まだ3歳なのでバラバラになってどこかに行っちゃうし、棚から物を持って来るし……(笑)。買い物カートは2人までしか乗せられない上に、『後ろに乗る!』『前に乗る!』など、同い年ならでは一歩も譲らない喧嘩が勃発してしまいます」(よつは)

粉ミルク1缶を1日半で消費。洋服は4人一斉にサイズアウト

生後11カ月頃の4つ子

―― 日用品も家事の量も4倍ですよね。4人分の出産準備や日用品を揃えるのも大変ではないでしょうか?

「赤ちゃんの時は大量のベビー用品を準備しましたね。特に困ったのは双子用のベビーカー2台。小回りがきかないし、大きくて場所を取りますが、4人分の赤ちゃんの荷物も一緒に運ばなければならないので、お出かけは荷物が多くて大変でした。

赤ちゃんの時は、粉ミルク1缶が1日半でなくなりました。おむつは1日30枚ぐらい使っていたので、ダンボールで買っても1週間もちませんでした。今はちょうどトイトレ中で、トイトレパンツを1日1人4枚ぐらい使うので、全部で20枚ぐらいありますが、もっと買い足さないと間に合いません(笑)。

洗濯は、1日最低3回ぐらい回します。夜に1回、残りは朝回して、乾燥機と外干しを併用しています。食事の用意は、4人とも同じ食事を出していますが、好き嫌いはバラバラ。野菜を残していたりすると『お野菜食べないと風邪引いちゃって、お咳コンコンしちゃうよ』と伝えて、なんとか食べてもらっていますね。

あとは、年齢がみんな同じだと、お下がりができません。赤ちゃんの頃は保育園用の着替えが1人上下5枚セット必要でした。今は上下3セットになりましたが、一斉にサイズアウトするので、一気に買って一気にいらなくなるというのを繰り返しています」(よつは)

互いに助け合い、守り合う4つ子同士の絆

当時1歳8カ月の4つ子を抱っこする夫

―― 4つ子育児ならではの楽しさ・面白さはなんでしょうか?

「子どもたち同士が本当に楽しそうに遊んでいるところが、賑やかですし微笑ましいです。赤ちゃんの頃は、赤ちゃん同士が喃語で喋っているのをいつも見ていて『かわいいなぁ』と思っていましたね。今は喋るようになって喧嘩もあるけれど、おままごととかでお互いにコミュニケーションを取りながら楽しく遊んでいます。

あと、きょうだい愛が強いですね。“守る”“助ける”という意識が強いので、きょうだいが危なかったりするとお互いに助けようとします。私が1人に『コラ!』と怒っているときも、他のきょうだいが『僕が言っておくから、ママ怒らなくていいよ』と止めに入ったりします。逆に、4つ子だからこそ、きょうだい同士に厳しくして喧嘩してしまうこともあります。例えば、保育園で他の子が席を立っていても注意しないのに、きょうだいが席を立っていると『席立っちゃダメだよ!』と注意をしていると保育園の先生から報告があります(笑)」(よつは)

―― 4卵性で性格もそれぞれ違うという4つ子ですが、きょうだいの性格を教えてください。

「1番目に生まれた長女は、1番面倒見が良くて姉御肌な性格。身長も大きく、寝返りやおしゃべりなどの発達もなにもかもが1番早いです。
2番目に生まれた二女は、ゆっくりマイペース。1人でお歌を歌って自分の世界に浸っているタイプ(笑)。競争心もあまりなく、自分のペースでゆっくりやり遂げます。
3番目に生まれた長男は、正義感が強くて真面目。きょうだいが悪いことをしているとよく注意しています。言葉の使い方が上手で、大人の気持ちを掴むのが上手です。
4番目に生まれた二男は、THE末っ子。きょうだいにも『長女ちゃん、やって〜』と、甘え上手です。

4人はそれぞれ数秒差で生まれているので『お姉ちゃん』『お兄ちゃん』とは呼ばず、それぞれの下の名前で呼んでいます。でも本当に不思議なことに、姉・妹・兄・弟の生まれた順番通りの性格です」(よつは)

親1人で幼い4人を連れて外出できない。4つ子ワンオペ育児の現実

現在3歳の4つ子

―― 多胎育児に対する自治体の制度に、どのような配慮があったらいいと思いますか?

「0歳の子ども4人を連れて、仕事帰りに日用品や夕飯の買い出しに行くということが物理的に不可能でした。しかし就労時間が月/60時間以上120時間未満の保育短時間(最長8時間)の契約では預かり時間が足りず、子どもが保育園に行っている間に仕事と買い物が済ませられません。なので月/120時間以上の保育標準時間(最長11時間)のフルタイム契約で働かないと保育園にも入れませんでした。仕事帰りに子どもを連れて買い物に行くという普通のママが当たり前にできることも、4つ子のママにはできないので、多胎児の家庭事情に寄り添った支援をしていただけると助かるなと思います。

また、私が住んでいる自治体では当時、多胎支援がほぼありませんでした。粉ミルク支給の小さい粉ミルク缶300gを月に3缶もらえたのですが、わが家の場合は全く足りませんでした。自治体によってはチャイルドシートの補助金が出るという支援もよく耳にしますが、それもありませんでした。4つ買って4つすぐにいらなくなってしまうので、本当にもったいないなと感じます」(よつは)

―― 子どもができる前に思い描いていた育児と、実際の4つ子育児はどのようなギャップがありましたか?

「4つ子を育てる前は、子育ては子どもにつきっきりなものだと思っていました。けれども先程も言ったように、一緒に買い物にも連れて行けないし、子どもと一緒にどこかに行くことも気軽にできません。今でも公園に行くことですらヒヤヒヤします。公園で散り散りになって遊ぶ4人を、夫婦2人で『ジャングルジムに1人いるからね』『あっち行ったよ』と声を掛け合って連携し、駆けずり回りながら見守りをしています。

子どもたちが生まれる前は『動物園にたくさん行きたいなぁ』と思っていたのですが、実際に行くとなると相当の覚悟が必要です。1人が抱っこになると4人全員が抱っこになってしまうので、4人全員が歩き切れるルートを事前に計画しておく必要があります。周りをみると3歳の子ってまだ抱っこやおんぶをしてもらっている子が多いので、親としては抱っこしてあげたい気持ちがあるのですが、1人13キロの子どもを夫婦で2人ずつ抱っこするのは、さすがにもうできなくて……。『頑張って歩こうね』『もう少しだから』と声をかけながら歩いてもらっています。こんなに抱っこをしてあげられないのは想定外でした。

しかしその反面、最近では言葉が通じるようなり、1人1人が自分で動けるようになりました。『コップを運んで』『ごはんを運んで』と言うと運んでくれたり、洗濯物を自分で洗濯機に入れたり、保育園準備も自分でできるようになりました。きっと子どもが1人や2人だったら、なんでも私がやっていたのだろうと思いますが、4つ子だったからこそ1人1人が自立し戦力になっています。親としては『こんなに幼いのに自分のことを自分でさせてしまってもいいのか』という罪悪感もあるのですが、4人で喧嘩して競い合いながらも、楽しそうに動いてくれているので、本当にありがたいなという気持ちです」(よつは)

―― 最後に、これからママ・パパになる方たちへのメッセージをください。

「自分にも言い聞かせる意味も込めて、ママ・パパも人間なのでありのままでいいと思います。私は1日を終えると『今日も1日子どもの命を守りきれた』と思うようにしています。ママだって毎日大変だし、嫌なことがあったり、怒ってしまうこともあると思います。そんな1日を乗り越え、子どもたちが眠りについた時に、わが子とはいえ自分以外の他人の命を1日守りきれたということだけで、もうみなさん十分に頑張っていると思いますよ」(よつは)

お話・写真提供/よつは(@4tsu.ha)さん 取材・文/清川優美、たまひよONLINE編集部

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現在3歳の4つ子たち。思う存分甘えさせてあげたい年頃だけれど、物理的に抱っこをしてあげられない、まだ幼いのに自分のことは自分でさせてしまうことに罪悪感があるなど、よつはさんの親としての本音が垣間見えました。けれども一方で、お手伝いをしたり、保育園の準備をしたり、自分でやり遂げる自立心の成長も感じられますよね。

どんなママ・パパでも、初めての育児は「これでいいのかな」と不安になることばかりですが、前例がほとんどない4つ子育児に向き合うことの大変さは計り知れません。自治体によってはまだまだ多胎児支援が浸透していない現実もあります。こうした声を取りこぼさないために、さらに行き届いた多胎児支援の充実を願います。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることをめざしてさまざまな課題を取材し、発信していきます。

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年2月の情報で、現在と異なる場合があります。

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