戦線離脱中の元全米女王アンドレスクが「ケガはだいぶ治っている」と現状報告。全仏と五輪出場に意欲を示す<SMASH>

度重なるケガに苦しんでいる女子テニス元世界ランク4位のビアンカ・アンドレスク(カナダ/現145位)が、欠場を余儀なくされた現在開催中のWTA1000大会「BNPパリバ・オープン」(3月6日~17日/アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート)の公式ウェブサイトによるインタビューで近況を報告するとともに、今後の目標を語った。

昨年8月に出場した母国開催の「ナショナルバンク・オープン」(WTA1000)で初戦敗退を喫して以降は、背中のケガを理由にツアーを離れているアンドレスク。当時18歳だった2019年にツアー初優勝を飾った思い出のインディアンウェルズでプレーできなかったことに悔しさをにじませた元全米女王は、「最後の試合から7、8カ月が経った。クレイジーだったわ」とこれまでの苦しい日々を振り返りつつ、回復自体は順調に進んでいると明かした。

「ここ(インディアンウェルズ)に来られてもちろんうれしいけど、プレーしたかった。でももうケガはだいぶ治っているし、体調も良くなってきた」とのこと。「症状を悪化させたくないから、基本的にはゆっくりとトレーニングを進めているところよ」というのが現状だ。
そのためまだ万全ではなく「トレーニングを始めたのは1カ月ほど前だけど、セット練習を始める準備も完全に整っているわけではない」そうだ。復帰時期については今季2つ目の四大大会「全仏オープン」(5月26日~6月9日/フランス・パリ/クレー)を照準に定めているとし、「クレーコートで練習してきた」とも語った。

そしてアンドレスクが最大の目標に掲げたのが、今夏に開催されるパリ五輪(全仏と同会場)への出場だ。「今年はオリンピックがある。初めてのオリンピックになるから、出場できるようにしたい。私たちはそれに向かって一歩ずつ進んでいるわ」と述べた上で、復帰に向けての青写真を以下のように示した。

「今後2~3週間で調子を上げていけるのではないかと期待しているわ。現時点での主な優先事項は、(ツアーで)再スタートを切った時に問題がないよう背筋とフィットネスを強化すること。できる限り練習の難易度を高め、復帰した時にとにかく試合を容易にこなせるようにしたい。でもそれも少しずつ、って感じね」

アンドレスクの言葉からは、ようやく明るい兆しが見え始めている様子がうかがえる。元全米女王の完全復活を願ってやまない。

文●中村光佑

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