鈴木愛が“二度寝”で2週連続優勝 20代20勝「ことしは違うぞ」

「ことしの鈴木愛は違うぞ」(撮影/村上航)

◇国内女子◇Vポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 最終日(17日)◇鹿児島高牧CC(鹿児島)◇6456yd(パー72)◇雨(観衆2110人)

荒天の9ホールの短期決戦を制した鈴木愛は、優勝会見で「私、中断とかサスペンデッドした時に勝つことが多いんです。きょうは自分の日だと思った」と笑った。優勝した18年大会は初日中止で36ホール競技。21年「資生堂レディス」は初日、2日目が中止で36ホール競技だった。

2週連続Vの裏に二度寝があった(撮影/村上航)

短縮競技に強い理由のひとつは、スタート前時間の使い方を変えたからだ。この日の最終組スタートは当初午前8時50分だったが、セカンドカットが実施され、午前9時30分と遅くなった。鈴木はいつも通りスタート2時間にゴルフ場に到着し、時間変更が決まって車へUターン。約1時間、“二度寝”した。

「誰かと話したりダラダラするより、寝て試合に集中できる環境を作れば結果が出ることは、自分でも分かっているので」。昨年からトレーナーの工藤健正(くどう・たけまさ)さんと取り組む肉体改造の一環として、睡眠時間に気を遣うようになったという。

荒天でも強い(撮影/村上航)

最終日は“寝覚め”の集中力を発揮した。出だしは10番で70cmのパーパットを外して最悪だったが、すぐ目が覚めた。12番で6m、13番では10m、14番で4mから3連続バーディ。15番で2個目のボギーをたたいたが、取るべきパー5の16番でバウンスバックし、17番で連続バーディ。「『ことしの鈴木愛は違うぞ』ってところを見せつけたかった」と底力を発揮した。

小祝さくらとのプレーオフは、初日ダブルボギーの18番が舞台だった。2ホール目で2オンさせた小祝に対し、2打目をガードバンカーに入れ、窮地に立った。しかし、先に2.5mのパーパットをねじ込み、ガッツポーズ。3パットした小祝に勝った。「9ホールなのでまだ実感がないですし、回り足りてない感じ。ここ数年は結果が出ない期間が長かったけど、まだまだやれるぞっていうのを示したかったので良かった」と2週連続Vをかみ締める。

最終組で底力を見せつけた(撮影/村上航)

「29歳313日」で、公言していた「20代通算20勝」を達成した。全美貞(韓国)に次ぐ史上9番目の年少記録に「20代での達成は本当に限られた選手だと思うし、そこに入れて光栄。下から追い上げてくる選手もたくさんいると思うけど、自分が上に立って下の世代に示していきたい」と力強い。

20代20勝の次は永久シードを(撮影/村上航)

あと10勝で永久シードに届く。樋口久子、ト阿玉(台湾)、大迫たつ子、岡本綾子、森口祐子、不動裕理だけの境地へ。「永久シードを獲るチャンスのある日本人はなかなかいないと思う。目指せるところにはいるので、なるべく早くまた1勝を挙げられるように頑張りたい」。30歳を前に、強い鈴木が帰ってきた。(鹿児島県姶良市/内山孝志朗)

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