【マーチS】1番人気わずか1勝の荒れるレース 東海S組ブライアンセンスや中山巧者ゴールドハイアーが有力か

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あえて難易度の高い重賞に挑戦する猛者たちへ

GⅠ当日に他の重賞が組まれる日は年9回ある。小倉大賞典、マーチS、アンタレスS、新潟大賞典、目黒記念、東京ハイジャンプ、福島記念、京阪杯、カペラS。ハンデ戦、ダート戦、障害とどれも難解なイメージのレースばかりだ。GⅠに集中しすぎるあまり、短時間で予想を済ませてしまうと痛い目にあう。

あえて難易度の高い裏重賞に挑戦する猛者たちへ。この記事がヒントになれば幸いだ。データは過去10年分を使用する。なお、22年3着同着があるので気をつけよう。

1番人気は【1-2-2-5】勝率10.0%、複勝率50.0%。高松宮記念と同じく苦戦している。2番人気【2-3-1-4】勝率20.0%、複勝率60.0%までは連軸として計算も立つが、残りはもう差はない。10番人気以下の2、3着は6回あり、上から下まで気を抜けない。GⅠの裏であっても点数を絞らず、しっかり間口を広げて構えたいものだ。

年齢別では4歳【1-2-1-26】勝率3.3%、複勝率13.3%に対し、5歳【3-3-2-24】勝率9.4%、複勝率25.0%、6歳【4-4-4-37】勝率8.2%、複勝率24.5%と年上が強い。やはりダートは経験の差が出る。7歳以上も【2-1-4-41】勝率4.2%、複勝率14.6%と見限れない。ベテラン中心の構成でよさそうだ。

中山巧者の伏兵多し

東海S4着ブライアンセンス、佐賀記念2着キリンジら4歳勢はヴァルツァーシャル、ダイシンピスケス、ゴールドハイアーら5歳以上にどこまで通用するか。ここを突破できれば、さらに上が見えてくる。

まずダート重賞なので、前走地方【1-1-2-22】勝率3.8%、複勝率15.4%からチェックしよう。佐賀記念は【1-0-1-9】勝率9.1%、複勝率18.2%で、キリンジの2着は【0-0-1-2】。2019年リーゼントロックが12番人気で3着に入った。

中央組はブライアンセンスの前走東海Sが【1-1-1-5】勝率12.5%、複勝率37.5%。3着【1-0-1-0】、6~9着【0-1-0-3】で4着馬の出走はない。3着の成績をみる限り、4着ブライアンセンスも悪くなさそうだ。今年の東海Sは1000m通過1:01.1、上がり600m36.0とまとめた先行勢の競馬だった。中団から動いたブライアンセンスは3着ヴィクティファルスとクビ差。先行勢がやり合えば展開も申し分ない。

前走OP・Lは【3-7-7-64】勝率3.7%、複勝率21.0%と馬券のカギを握るゾーンといっていい。特に前走総武S【2-4-1-24】勝率6.5%、複勝率22.6%、仁川S【0-1-4-16】複勝率23.8%に注目しよう。

総武Sの着順内訳は1着【1-1-0-4】勝率16.7%、複勝率33.3%、2、3着【0-1-1-5】など好走馬だけでなく、5着【0-2-0-1】、6~9着【1-0-0-4】など敗退組にも注意が必要だ。10着以下は【0-0-0-7】で大敗を除けばどれも買える。

今年の総武Sは1000m通過1:01.7、上がりは37.8もかかる消耗戦だった。中盤に12.2-12.1と速いラップを踏み、最後600m12.3-12.6-12.9と失速していった。勝ったゴールドハイアーは2走前も中山の師走S3着などこのコース向きの粘り強さがある。前半で前につけられるようになり強みを出せるようになった。3着キタノヴィジョンは昨年のこのレースも3着で、差し一手でも最後の最後に顔を出す。今年もゴール前でちょっとだけ差して馬券圏内はあるかもしれない。

仁川Sは総武Sよりわかりやすく、2着が【0-1-2-1】と光る。2着ウェルカムニュースは1800mより1900、2000mが得意で、最後にスタミナ勝負になるレースを好む。そういった意味ではマーチSは合いそうだ。序盤、どれだけ負荷をかけずに追走できるかだろう。なお、ヴァルツァーシャルらのポルックスSは【0-1-1-9】複勝率18.2%と、間隔があく分あまりよくないことを覚えておこう。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。



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