さながら「国政の代理戦」 石破氏、馬場氏ら与野党国会議員駆けつけ舌戦 鳥取県議会鳥取市選挙区補選 

立候補者の訴えに聞き入る支援者ら=15日、鳥取市内

 鳥取県議会鳥取市選挙区補欠選挙(被選挙数2)が15日に告示され、新人3人が立候補した。各候補を公認・推薦した与野党の国会議員が応援に駆けつけ、県議会の議席争奪の意味合いを超えた「国政の代理戦争」の様相だ。政治資金パーティー裏金問題など逆風の中で自力を示したい自民党に対し、野党は保守地盤に一太刀を加える好機とみて舌戦に火花を散らす。投開票は24日。

 自民党推薦の山本暁子候補(42)の15日の出陣式で、党県連会長の石破茂党元幹事長がマイクを握り「大変な逆風。1票差でもいいから議席を取らせていただきたい」と訴えた。

 共同通信社が9、10両日に実施した世論調査で内閣支持率が20.1%と低迷する中、石破氏は次期総裁候補で最も高い22.2%の支持を集めた。鳥取市を含む衆院鳥取1区が地盤で、逆風下でも力を見せつけたいところ。石破氏は「可能な限り帰ってくる」として16日以降も選挙期間中は計3日間応援に入る予定だ。県連副会長の上杉栄一鳥取市議は「看板に泥を塗るわけにはいかない」と息巻く。

 日本維新の会公認の玉木裕一候補(46)と並び15日に街頭に立った馬場伸幸党代表は、大阪府で進めてきた「身を切る改革」と教育無償化といった党の政策を披歴し「皆さんにとって、鳥取に新しい風を吹き込む大チャンスがやってきた」と呼びかけた。

 維新にとっては、中国地方初の県議議席獲得がかかる大一番。16日にも音喜多駿党政調会長が駆け付ける力の入れようで、勢力を関西から全国に広げる足掛かりにしたい考え。県総支部の国頭靖幹事長は「維新の存在感をしっかりアピールする」とし、無党派層や若者の投票行動につなげる風を起こそうと躍起だ。

 立憲民主、国民民主両党などが推薦する吉田正候補(65)の15日の出陣式で、立民県連代表の湯原俊二衆院議員が自民党派閥の裏金問題に触れ「政治不信の増大にとどめを刺さなければならない」と声を張り上げた。期間中は国民の応援弁士も鳥取入りの予定で、総力戦を仕掛ける。

 民主系政党は、保守地盤に阻まれ衆院鳥取1区で候補者を擁立できず、4回連続の不戦敗中。今回の補選は、自民党への不満の受け皿としての存在意義が問われる戦いとなる。立民、国民両党の支持母体である連合鳥取の山口一樹会長は「何としても当選させる」と意気込む。

◆立候補者(敬称略、届け出順)◆

玉木 裕一 46 維新 山本 暁子 42 無新 吉田  正 65 無新 

(被選挙数(2)-3人)

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