「あのサイズで誰も見たことがないことをしている」リラードがウェンバンヤマを称賛「一番驚いたのは、彼の持つ競争心だ」<DUNKSHOOT>

3月15日(日本時間16日、日付は以下同)、ミルウォーキー・バックスのデイミアン・リラードが、『Dan Patrick Show』へゲストとして出演した。

昨年9月にバックスに入団したリラードは、今年2月にインディアナポリスで開催されたオールスターゲームの3ポイントコンテストで連覇を果たし、本戦では11本の3ポイントを含む39得点、6アシストの活躍で初のMVPに輝いた。

“デイム”はキャリア12年目の今季、62試合に出場して平均24.3点、4.4リバウンド、6.9アシストに3ポイント成功率35.2%(平均3.0本成功)を残し、相棒のヤニス・アデトクンボとともにバックスを引っ張っている。

番組内で、リラードは昨年のドラフトでサンアントニオ・スパーズから1位指名を受けた大物新人ヴィクター・ウェンバンヤマについて聞かれ、こう話していた。

「特別な選手だと思う。まず目が行くのは身長(224㎝)だろう。彼は非常に優れたバスケットボールプレーヤーだけど、彼の周囲にはものすごい誇大な宣伝が起きている。『おいおい、彼はめちゃくちゃ大きいし長いじゃないか。ゲームはすごく速いのに、NBAでやっていけるのか?』ってね。それで彼はちょっとばかり(緊張や興奮で)引きつっているように見える。確かに彼は大きくて細身だけど、本当に機敏なんだ。それにスムースに動き回るから、あのサイズで誰も見たことがないことをこなしている」
1月4日のバックスとスパーズの一戦、ウェンバンヤマは速攻でリラードをビハインド・ザ・バックドリブルで抜き去ってフィニッシュへ持ち込み、守備ではアデトクンボ相手に見事なブロックショットを決めるなど27得点、9リバウンド、5ブロックと躍動。スパーズは121-125で惜敗したものの、リーグ屈指の強豪と好勝負を演じた。

16日を終えた時点で、43勝24敗(勝率64.2%)のイースタン・カンファレンス2位につけるバックスに対し、スパーズはすでにプレーオフ進出の可能性が消滅し、ウエスタン・カンファレンス最下位の14勝53敗(勝率20.9%)と低迷。

両チームの立ち位置は対照的ながら、ウェンバンヤマは59試合の出場で平均20.6点、10.3リバウンド、3.4アシスト、1.3スティールにリーグトップの3.4ブロックと立派な成績を残している。
33歳とベテランとなり、これまで多くの選手たちを見てきたリラードは、フェニックス・サンズのケビン・デュラントを引き合いに出し、20歳の大物ルーキーをこう評していた。

「俺たちはずっと、デュラントが6フィート11インチ(211㎝)で難なくこなしていることに強烈な印象を抱いてきたと思う。それが今じゃ7フィート5インチ(226㎝/登録は224㎝)で同じことができてしまう。まったくクレイジーなことさ。ウェンビーはスペシャルだと思う。俺が一番驚いたのは、彼の持つ競争心だね。あれが近いうち、彼をリーグのベストプレーヤーにさせると思わせてくれるんだ」
240㎝と驚異のウイングスパンを持つウェンバンヤマには、リラードが指摘したように、ガードやペリメーターでプレーするウイングのような高いスキルが備わっている。

持ち前の高さやリーチの長さを駆使してダンクやブロックを決める一方、ステップバックやヘジテーション、シャムゴッドなど高度なハンドリングスキルも持ち合わせ、相手だけでなく味方さえも驚かせるようなプレーを見せている。

名将グレッグ・ポポビッチHC(ヘッドコーチ)の下、スパーズにはウェンバンヤマだけでなく、ジェレミー・ソーハンやデビン・ヴァッセル、ケルドン・ジョンソンなど優秀な若手が揃っている。5度の優勝を誇る古豪が、再びリーグを支配する日はそう遠くないかもしれない。

文●秋山裕之(フリーライター)

© 日本スポーツ企画出版社