「2024 bjカップ U15 in TOCHIGI」で見つけた将来の代表候補3選手

日環アリーナ栃木で開催された「2024 bjカップ U15 in TOCHIGI」は、男女合計38チームが2日間にわたり熱戦を繰り広げた。今回はその中から、将来の日本代表にも名を連ねる可能性が大いにある注目選手3名をピックアップした。

◆■伊藤咲笑(NLG INFINITY)

[写真提供]=オールスポーツコミュニティ

今大会を7位で終えたNLG INFINITYには、伊藤咲笑(174センチ)、板橋香苗(173センチ)という2人の長身選手がいた。その中でもチームの大黒柱と呼べる存在が背番号10の伊藤だ。

攻守におけるリバウンドとインサイドでの果敢なオフェンスで存在感を示す彼女は、今回のbjカップでもオフェンスリバウンドを量産し、力強くゴール下のシュートを決める姿を何度も披露。「リバウンドもちゃんと自分から飛び込んで取ることができましたし、インサイドでのポジション取りもタイミングよくできたと思います」と手応えを感じていた。

目指す選手像は「中でも外でもプレーできる選手」。中学2年生になってからは3ポイントシュートの練習にも力を入れ、今では試合でもチャンスと見れば躊躇せずに3ポイントを射抜くこともできる。今後も伸びしろ十分の伊藤は、2023年に実施されたU15ナショナル育成センターキャンプのメンバーにも選出された。

しかし、同世代のトップ選手が集まった育成キャンプでは、「周りは身長が高くても動ける選手ばかりで、自分は全然動けなかったです。スピードや体力面の差を感じました」と力不足を痛感。それでも、現在の課題が明確になり、進学先の関東の強豪校では、全国でも活躍できるオールラウンダーを目指す。

◆■恒岡ケイマン(京都Dreamers)

[写真提供]=オールスポーツコミュニティ

U15世代の大会に、1人だけ大学生が出場しているような感覚さえあった。京都Dreamersの恒岡ケイマンは195cmのサイズに加え、すでにがっしりとした身体の厚みもある。アウトサイドからドライブで切り込めば相手ディフェンスが何人いようともシュートをねじ込み、外れたとしても自らリバウンドを拾ってバスケットカウントを奪ってみせる。

「自分の一番の役目は、やっぱり得点を決めること。あとはアシストやリバウンド、チームの盛り上げることも仕事だと思っています」。そう話す恒岡はキャプテンかつ絶対的エースとして京都を優勝へ導くことはできず、準優勝で大会を終えた。「3ポイントやドライブでオールラウンドに得点を取ることはできたんですけど、ボール運びがうまくできなかったです」と反省を口にしたが、スケールの大きさは世代トップクラスと呼ぶに相応しいものだった。

日本が誇る新たな逸材は、今春から本場アメリカでの活動を予定している。夢はもちろんNBA、目標とする選手はレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)だ。「バスケットの頂点と呼べる舞台でプロバスケ選手になりたいです」。真っ直ぐな目で今後を見据えた恒岡が、“日本のキング”になる日が楽しみだ。

◆■田中麗斗(サンロッカーズ渋谷U15)

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京都との準決勝で恒岡と熾烈なマッチアップを繰り広げたのは、サンロッカーズ渋谷U15の田中麗斗。「ケイマンには夏に対戦したときもやられて、今回もまたやられてしまいました。でも、自分の弱みが改めて分かった試合になったかなと思います」と振り返ったゲームキャプテンは、主にフィジカルとリバウンドの強さにおいて課題を残した。

ただ、大会を通して見せた柔らかなシュートタッチや走力、視野の広さなどは目を見張るものがあり、193センチながら万能なプレーで存在感を示した。昨年4月には、U16日本代表のエントリーキャンプメンバーに飛び級で選出。今年1年、唯一無二の存在としてSR渋谷を引っ張ってきた田中は「自分がチームを勝たせる」という思いを胸に刻んでコートに立ち続けた。

「チームを勝たせられるような存在になるための、1歩目を踏み出せたんじゃないか」。惜しくも4点差で決勝進出を逃した直後、田中は秋葉真司ヘッドコーチからそんな言葉を掛けられたという。U15の一員としてプレーできるのも残りわずかとなった。1年を締めくくる「B.LEAGUE U15 CHAMPIONSHIP 2024」でチームを優勝へ導き、田中はさらに大きな1歩を踏み出すだろう。

文=小沼克年

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