「ハロプロ卒業後の活動に興味がない」は過去の話? 稲場愛香、鈴木愛理らソロでの飛躍に注目

元Juice=Juiceの稲場愛香が4月17日、1stシングルをリリースし、ソロデビューを果たす。それに伴いデビューシングルより「圧倒的LØVE」のMVが3月9日に公開された。2022年5月にJuice=Juiceを卒業して以降、ハロー!プロジェクトのOGアーティストによるファンクラブ M-line clubの公式YouTubeチャンネルや、コンサートを中心に活躍する姿を見せていた稲場。Juice=Juice在籍前のカントリーガールズ時代からダンスの実力に定評があり、そのキャラクターも含めてファンから愛されていたメンバーだけに、卒業後さらにスキルが磨かれた歌唱も含めて、彼女のソロ活動には大きな注目と期待が集まっている。

稲場のソロデビューをきっかけに、改めてM-line clubに所属するハロー!プロジェクト OGメンバーに着目してみると、グループを卒業後、それぞれの個性を輝かせながら活躍し続けているメンバーが多いことに気づく。

例えば、元℃-uteの鈴木愛理。2017年6月に℃-ute解散公演をもってハロー!プロジェクトを卒業した彼女は、満を持して2018年6月にソロデビューを果たした。鈴木はそれ以降、歌手だけでなくモデルや女優、テレビ番組のMCなど多岐にわたって活躍を見せている。直近では、ドラマ『推しが上司になりまして』(テレビ東京系)で主演の中条瞳を好演するとともに主題歌も担当した。

また、2023年6月にはテレビ朝日の公式YouTubeチャンネル『動画、はじめてみました』で配信中のインターネット番組『アニソン神曲カバーでしょdeショー!!』で、社会現象を巻き起こしたYOASOBI「アイドル」をダンスも含めてカバーし、再生数が1400万回を超える人気動画となり、視聴者やファンから好評の声が相次いだ。

稲場と同じくJuice=Juiceに所属していた宮本佳林の活躍も見逃せない。宮本は2020年12月に日本武道館で行われた卒業公演をもって、Juice=Juiceとハロー!プロジェクトを卒業した。その後、2021年6月にソロコンサートを開催すると、同年12月には1stシングル『どうして僕らにはやる気がないのか(2021)/氷点下/規格外のロマンス』をリリース。今日までに合計3枚のシングルと1枚のフルアルバムを発表し、複数回の単独コンサートを実現させた。

特に2023年11月にリリースした3rdシングル『バンビーナ・バンビーノ/Lonely Bus』は、「オリコン週間シングルランキング」で自己最高の4位にランクイン。宮本はJuice=Juice時代から歌唱力の高さが評価されていたメンバーということもあり、その圧倒的な実力と外部イベントへの出演も多く、グループを卒業した今もなお多くのファンを魅了し続けている。

そして、2015年から約5年間つばきファクトリーで活動していた小片リサは、表現をとことん追求した音楽活動を2021年から積み重ねてきた。小片は、2021年12月にカバーアルバム『bon voyage!~ risa covers ~』でソロデビュー。それ以来、シングルのリリースや単独コンサートの開催で高い歌唱力を発揮すると、2023年12月リリースの2ndシングル『映画の趣味が合うだけ/ちいさな世界』では、「オリコン週間シングルランキング」で2位にランクインして注目を集めた。

小片といえばグループ在籍時から儚げで少し影のある歌声が特徴だったが、最新シングルに収録された「映画の趣味が合うだけ」は小気味良いアップテンポなサウンドで、小片の新たな一面が垣間見える楽曲となっている。インタビューでは、映画の趣味が合うだけの恋が始まるか始まらないか分からない絶妙な男女の距離感を表現するために、自らもアイデアを出しながら試行錯誤してレコーディングを進めていった様子が語られており、ソロアーティストとして着実に成長を遂げている小片の姿に期待を寄せているファンも多いことだろう。

それから、佐藤優樹への言及も欠かせない。2021年12月に多くのファンに惜しまれながらモーニング娘。’21を卒業した佐藤は、卒業直後からM-line clubの公式YouTubeチャンネルで歌唱動画等をコンスタントにアップし、2023年3月に1stシングル『Ding Dong/ロマンティックなんてガラじゃない』でファン待望のソロデビューを実現した。

特にアイドルの楽曲も多数手がけてきたヒャダインこと前山田健一が作詞に携わった「Ding Dong」は、MVの再生数はすでに166万回を超え、どこを切り取っても佐藤の魅力が伝わってくる映像に心を奪われたファンが続出した。今年はソロでのカレンダーも発売したほか、雑誌やテレビ、ウェブをはじめとしたメディアにも頻繁に登場しており、今後もそのカリスマ性の高さを発揮しながら、楽曲のリリースやコンサートで活躍する姿を見せてくれるに違いない。

さらに、一時は稲場と同じカントリー・ガールズで活動していた小関舞のソロデビューも発表された。小関は宮本、小片、佐藤、稲場とともに新ユニット・SIOOM(from M-line Music)が、ドラマ『シンデレラ・コンプレックス』(MBSドラマ特区)のエンディング主題歌を務めていることも話題となった。2008年6月にリリースされた高橋愛、田中れいな、清水佐紀、矢島舞美、前田憂佳から成るユニット・High-Kingの「C\C(シンデレラ\コンプレックス)」をカバーする。

このように、ハロー!プロジェクトのグループを卒業したOGは、ソロデビューを果たした後も、グループの看板がなくとも個人の力で活躍の場を広げている事例が増えてきたように思う。活躍の仕方も多様で、音楽活動を中心とするメンバーもいれば、女優業に力を入れるメンバー、さまざまなジャンルで実力を発揮するメンバーと、それぞれの個性に基づいた活動のあり方を体現している。かつてはハロー!プロジェクトを卒業したメンバーについて興味が薄れてしまうファンも少なくなかったが、それも過去の話と言っても過言ではないだろう。こうしたOGの活躍は、国内のガールズグループシーンで活躍するメンバーの将来に多彩な可能性を示す好事例となり、シーンを盛り上げる一助となっていると言えるのではないだろうか。

(文=市岡光子)

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