究極の中間管理職が王座挑戦宣言!「俺がどんだけめんどくさい男か知ってんのか?」

17日、東京都・後楽園ホールにてDDTプロレスリング『Judgement2024~旗揚げ27周年記念大会5時間スペシャル~』が開催。上野勇希がHARASHIMAを破ってKO-D無差別級王座の3度目の防衛に成功した。

上野勇希は2016年にかつて存在したDDTの下部団体・DNAでデビュー。端正な容姿、器械体操仕込みの高い運動神経から繰り出される飛び技の数々、さらに“DDTらしさ”を持つその人柄から長年団体のトップに立つことを期待されてきた。順調にキャリアを重ねた上野は、昨年11月に悲願のKO-D無差別級王座初戴冠を果たした。

HARASHIMAは2001年にDDTでデビューし、 “ミスターDDT”と呼ばれる大エースへ成長。DDTの歴史=HARASHIMAの歴史と言っても過言でないDDTの象徴の1人だ。
若々しい容姿と言動から年齢を感じさせないが、HARASHIMAも今年で50歳。世代交代が進んだこともあり、DDTでは第一線から退きつつあった。
しかし、HARASHIMAは坂口征夫の引退試合の相手を務めてから再び頂点獲りに向けて奮起。上野に挑戦表明を行い、約3年ぶりの王座挑戦が実現。28歳の上野との“21歳差対決”に臨んだ。

試合は開始早々に場外戦となり、南側客席上段までなだれ込んでの殴り合いを展開。上野は客席階段からのムーンサルト・アタックを敢行して場内を沸かせる。
その後も華麗な空中技を繰り出していく上野だったが、HARASHIMAはそのたびに剣山で迎撃。これを起点に徹底したボディ攻めを行っていき、終盤には雪崩式リバース・フランケンシュタイナーなどの大技も披露。しかし、必殺の蒼魔刀を上野の奥の手・胴絞めスリーパーホールドで切り返されてしまう。
息も絶え絶えの様子でロープブレイクしたHARASHIMAに対し、上野は顔面を蹴り上げて挑発。これでプッツンしたHARASHIMAは無表情で激しいビンタを見舞っていき、顔面にスピンキック。上野も怯まず顔面をぶち抜く打点の高いドロップキックで即座に反撃。
HARASHIMAはカウンターのジャンピングニーから蒼魔刀をクリーンヒットさせるもカウントは2。信じられないといった様子のHARASHIMAだったが、バズソーキックからスワンダイブ式蒼魔刀でのトドメを狙う。しかし、これを上野が地対空ドロップキックで撃ち落とす離れ業を見せ、直後にWRで突き刺して3カウントを奪った。

試合後、両者晴れやかな笑みを浮かべながらしっかりと抱き合う。そして、上野は「僕のライバルとして 何回でもタイトルマッチやりましょう」と言葉をかけて退場していくHARASHIMAの背中を見送った。

次回の防衛戦は4月26日の墨田区総合体育館大会で行われることとなり、上野は次期挑戦者に彰人を指名。
彰人は業界随一のテクニック&プロレス脳を持つ選手であり、どんな相手やルールでも一線級の試合を作れる仕事人。しかし、彰人は2020年の株式会社CyberFight設立とともに同社の取締役副社長に就任し、1レスラーとしては最前線から遠ざかっていた。

指名を受けた彰人は狼狽しながら「俺じゃないでしょ?!俺は副社長の仕事してて、俺がそこに挑戦するのは違うと思ってる。俺は今年まだ1勝もしてない。他にあなたと闘っていい試合できる人間、他にいくらでもいるでしょ」と挑戦を拒否。
さらに「物事には役割があって、副社長は言うならば究極の中間管理職です。僕は今DDTに必要な穴にはまってる。例えば、バラエティ枠」と役割の違いを説く。

それでも上野は「副社長の中間管理職としての仕事、バラエティ枠、グッズのこともあるかもしれない。誰かが欠場したらグッズ班じゃなくて試合をする。いっぱいやることあるかもしれない。でも、僕の挑戦者であるという枠もしっかり彰人さんの仕事です」と食い下がり、理詰めで彰人の逃げ道を塞いでいく。

この言葉で吹っ切れた彰人は、「僕は今副社長というフィルターがかかってる。理性で抑えてる。それが外れたらどうなるか分かる?最近DDT見に来たお客さんは知らないかもしれないけど、俺がどんだけめんどくさい男か知ってんのか?OK。今からフィルター全部取っ払う。俺の立場とか関係ない。1レスラーとしてチャレンジする」と戦士の顔になる。

これに満足そうな笑みを浮かべた上野が握手を求めるが、彰人の答えは関節蹴り。 「言ったよな?めんどくせー奴だって。もう闘いは始まってんだよ。お前のその輝き、俺の毒で全部消すからな。覚悟しとけ」と宣戦布告した。

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