回転窓/点字ブロックの歴史を知る

きょう3月18日は「点字ブロックの日」。1967年のこの日、岡山市内に世界で初めて敷設されたことにちなんだ記念日である▼発明者は三宅精一氏(26~82年)。視覚障害者が交差点で道路を横断しようとしていた時、車が横を勢いよく走っていくのを見て「はっ」とし、点字ブロックの構想が浮かんだという▼開発経緯や普及への歩みは安全交通試験研究センター発行『白浪に向いて 三宅精一を語る』(83年、岩橋英行著)に詳しい。三宅氏は中途失明する著者との親交を通じて、視覚障害者が安全に歩けるための構想実現へ試行錯誤し開発に成功する▼それから半世紀以上がたち、歩道や駅ホームなどに設置された点字ブロックは、視覚障害者の歩行に欠かせない社会インフラとなっている。だがその上に荷物や自転車などが置かれていたらどうなるのか。誰もが容易に想像できよう▼著者は発行前年に亡くなった三宅氏にヘレン・ケラーの言葉を手向けている。「あなたのランプの灯を、今少し高く掲げて下さい。見えぬ方々の行く手を照らすために」。後世に伝えていかなければならない点字ブロック誕生の歴史がある。

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