政府/入管法・技能実習法一括改正案を決定、外国人材受け入れ「育成就労」創設

政府は15日の閣議で、技能実習に代わる外国人材受け入れの新制度「育成就労」の創設を柱とする出入国管理・難民認定法と技能実習法の一括改正案を決定した。外国人材の「就労を通じた人材確保・育成」を目標に掲げ、3年間で特定技能1号の技術水準まで育成する。新たに認める本人意向による職場の転籍(転職)の制限期間は1年とし、激変緩和措置として産業分野ごとに最長2年までの延長を認める。
今国会で成立すれば公布から3年以内に施行する。新制度は2027年にも始まる見通しだ。
1993年にスタートした技能実習制度は、外国人材が他の企業に転籍することを原則認めていない。最初の受け入れ先が賃金の未払いや長時間労働が横行しているようなブラック企業だった場合、外国人材の失踪などに及ぶ問題が相次いでいた。
育成就労は、現在ばらばらに設定されている技能実習と特定技能の受け入れ対象分野を一致させ、特定技能に移行しやすくする。育成期間は3年間。一定の日本語能力や技能を身に付ければ最長5年間働ける特定技能1号に移行できる。さらに熟練技能者向けの同2号を取得すれば事実上無期限の在留や家族の帯同も可能となる。
建設分野で見ると、現在の技能実習制度で受け入れ可能なのは計22職種33作業あり、特定技能の業務区分は技能実習対象職種も含め▽土木▽建築▽ライフライン・設備-の3区分に分類し統合している。この3区分で建設業の全作業をカバーし、円滑な移行を促す措置が講じられている。
本人意向による職場の転籍はやむを得ない事情がある場合、同一の業務区分内に限り認める。最初の受け入れ先からの転籍を制限する期間は1~2年。政府が受け入れ分野ごとに転籍制限の期間と、運用方針に基づく受け入れ見込み数を設定する。
外国人材の受け入れや勤務先の指導を担う監理団体は「監理支援機関」と名称変更する。新たに外部監査人の設置を許可要件とする一方、受け入れ企業と密接に関係ある役職員を業務に関わらないよう規定。外国人技能実習機構に代わる「外国人育成就労機構」も設立し、業務内容に育成就労外国人の転籍支援や特定技能1号外国人に対する相談援助を加える。最初の受け入れ企業が支出した初期経費などについて、正当な補償が受けられる仕組みも検討する。

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