群馬建協/県内建設業育成に注力、災害対応のアンケート結果を受け

群馬県建設業協会(青柳剛会長)は、災害時に備えた県内建設業の育成にさらに力を入れる。緊急出動する災害応急対策基礎人員や保有機械の総数を調べたところ、過去約20年間でほぼ横ばいだった。青柳会長=写真上=は「建設業の原点は地産地消」とし、現状を保つために地域の建設業が持続的に活躍可能な環境整備の必要性を訴えていく。災害対応ができる人材の確保に向けた広報活動などに注力する。行政に対し、社会資本整備の推進なども求める。
15日にアンケート結果を発表した。能登半島地震を受けて1月23日~2月7日に行い、296社から回答を得た。東日本大震災後の2012年2月にも同様の調査を行い、02年当時の状況も調べている。今回のアンケートでは、災害応急対策基礎人員が02年時点の8106人に対して現時点で7742人、保有機械の総数は02年時点の5282台に対して現時点で5020台となり、過去22年でほぼ同一レベルで推移していることが分かった。
青柳会長は「厳しい状況だが、企業の努力によって現状をなんとか維持してきた」と評価。地元人材や若年者の入職をさらに促すため「災害対応など建設業の地域貢献の役割を発信するため、広報活動に取り組みたい」と話した。臨機応変に災害対応するための重機運転技術の向上、管内企業や支部間の応援態勢の強化、災害情報共有システム「ぐんケン見張るくん」による災害情報の発信にも力を入れる。
人員や重機数を維持できていることについて「地域密着型事業を県単事業として確保していただいたことが功を奏した」と青柳会長。今後も、社会資本整備を計画的かつスピード感を持って行うよう求めた。「県や支部との意見交換会などの結果が反映された」ことも、人員や機械数を確保できた要因とした。さらに意見や情報を共有するため、発災時の災害対策本部や、平時の災害に関する会議などに建設業をメンバーとして参加させるよう求め、普段から災害危険箇所や地域特性を共有するように要請した。人員や資機材を維持するための限界工事量確保も要望した。
今回のアンケートでは、従業員の会社への参集時間と、BCP(事業継続計画)の策定状況も調べた。「人員数以外の要素も掘り下げて考えることが、迅速な応急復旧につながる」と青柳会長は狙いを説明した。
各支部の災害応急対策基礎人員や機械数に加え、管内人口や緊急輸送道路の延長も調べた。「地域により、道路の長さに対して割ける人員や機械数に差がある。地域特性を踏まえ災害対応組織力を強化する必要がある」と群馬建協の若田部純一常務理事は話した。

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