緊急車両の給油、迅速に 震災教訓、専用カード提示で手続きなし

 

 岩手県石油商業協同組合(井上成一理事長)は、災害時に官公庁の緊急車両に迅速に給油する仕組みを整えた。管轄外でも専用のカードを提示すれば手続きなく給油でき、警察や消防など主要機関をほぼ網羅した。従来は指定のスタンドを探したり、領収書の受け取りで煩雑な作業があった。東日本大震災ではマニュアルがなく混乱した教訓を踏まえ、救援活動を支える。

 県や市町村、警察、消防などに対し、識別番号を記した専用カードを配布。組合のシステムにカードデータを登録し、支払い請求などの手続きを後日、一括して行う。停電でシステムが機能しなくても番号が分かれば給油できる。

 システムは2022年10月から順次運用。現在は県の4広域振興局管内の車両1921台、12市町の2917台に加え、消防など大半の行政事務組合と連携する。調整中の自治体も一部あるが、病院や警察など主要な機関をほぼ網羅した。

© 株式会社岩手日報社