【ONE PIECE考察】Dr.ベガパンクの配信に浮かぶ違和感ーー天才科学者の裏の狙いと今後を占う

※本記事は『ONE PIECE』最新話の内容に触れる部分があります。連載を未読の方はご注意ください。

『ONE PIECE』エッグヘッド編にて、ついに登場した物語のキーマン・Dr.ベガパンク。彼は作中にて五老星と対峙し、退場の危機に瀕しながら驚きの偉業を成し遂げようとしている。それが、世界の「真実」を世界に配信することだ。

ベガパンクが伝える世界の「真実」とは何なのか、彼は死亡してしまったのか。今回はベガパンクの配信や今後について、ワンピース研究家の神木健児氏に話を聞いた。

「本誌最新話では、ベガパンクが世界の『真実』を全世界に配信しようとし、五老星が大慌てで止めようとしている真っ最中です。気になるその内容は、やはり空白の100年に巻き起こった『真実』の歴史でしょう。800年前に栄えていた国の名前や、どのようなことが起こり現在の世界政府が誕生したのか。世界政府が研究を固く禁じるからには、そこには後の世界政府となる組織が隠し通したい、卑劣なおこないがあったはず。それが世界中に明かされると思います。作中では、クローバー博士も空白の100年について言及していましたよね。あの頃は明かされなかった彼の仮説の全貌が、ついに明らかになるのかもしれません」

神木氏はベガパンクの配信自体にも、違和感があると続ける。

「ベガパンクは世界の『真実』をただ伝えるというだけでなく、その“伝え方”を重視している気がするんです。いくら『真実』を世界に訴えかけようと、五老星がデタラメだと揉み消してしまえばそれまで。そう考えると、1番確実なのはリアルタイムで映像を繋げ五老星自身に語らせることでしょう。

映像内のベガパンクとサテライトのやりとりも、どこか演技のように感じます。またコーヒーが10分以内に完成しないと言っていましたが、ベガパンクは無人調理機を使えば一瞬で飲食物を製造できる。この辺りにも、違和感がありますよね。私はこの10分は、五老星を焦らせ集めるための時間なのではないかと思っています。彼らを1箇所に集めてしまえば、映像を確認させずにリアルタイムで配信をすることもできるはず。周囲に一般人がいない状況で五老星を全員集めるのが、リアルタイムで五老星自身に『真実』を語らせる条件だったのかもしれません。

また五老星が全員エッグヘッドにいる事実が世界に発信されれば、マリージョアの手薄さも知れ渡りますよね。彼らがマリージョアにいない状況を、好機と判断する組織もいるでしょう。ベガパンクのリアルタイム配信は、さらなる大事件を巻き起こす火種になる可能性もあると思います」

ベガパンクの死をスイッチに始まったようにみえる、世界への配信。彼は本当に死亡してしまったのだろうか。

「私は、ベガパンクは死んでいないと思います。ベガパンクはもしものときのために、パシフィスタの最高権利者がボニーになる細工を施していました。サターン聖も言っていましたが、そんなことをすればどうなるかベガパンクもわかっていたと思うんです。その状況で、彼が何も対策を練っていないとは考えづらいですよね。私としては、実はサテライトの1人であるはずの正(シャカ)がベガパンク本体だったら嬉しいです。過去のベガパンクは自分があと5人いればと言っているのですが、造られたサテライトは6人。ベガパンクは基本的にいいやつなので、特性からして正は本体と重複している部分も多いように思います。もしかすると正はベガパンクのクローンに近いものであり、ベガパンクは頭を切断した時点で、自我を正に移動させることもできたのではないでしょうか。

歴史の『真実』を告げる世界への配信は、ステラ(本体)が亡くなることをスイッチに始まったと思います。なので残念ながらステラの死亡は確定かなと思いますが、正に自我を移しているのならベガパンクが死亡したことにはなりませんよね。世界への配信の準備をしていた彼が、ボニーへのパシフィスタの権利譲渡や、自分が殺されることを本当に想定していたのなら、エッグヘッドでは肉弾戦だけでなく頭脳戦も始まっていると言えます。頭脳戦であれば、やはりベガパンクに敵う人間は『ONE PIECE』の作中にいないのではないでしょうか」

ベガパンクの存在は、作中世界の「真実」を知るうえで確実に重要になるだろう。ルフィに助けを求めた、世界一の天才科学者の今後に注目だ。

(青木圭介)

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