世界で合法化が進む安楽死、“積極的安楽死”、“自殺ほう助”、“尊厳死”の違いと日本における現状

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜6:59~)。「New global」のコーナーでは“安楽死の合法化”について取り上げました。

◆近年、安楽死を合法化する国が増加

エクアドルでALS末期患者が「安らかに眠りたい。私が経験していることは苦痛と孤独であり残酷だ」、「尊厳ある人生の権利を守るために積極的安楽死の処置を施す医師には殺人罪の刑罰は適用できない」と訴え安楽死した件で、裁判所は安楽死を非犯罪化とする判決を下しました。

現状、安楽死には複数の解釈があり、前述の「積極的安楽死」は患者の意思により医師が致死薬の注射などを行うこと。一方、「自殺ほう助」は医師が薬物の提供などにより患者の自殺に関わることで、「尊厳死」は本人の意思で延命措置を受けずに自然に死を迎えることと定義されています。

安楽死は2001年、オランダが国レベルでは世界で初めて合法化。以降、ベルギーやルクセンブルク、カナダ、コロンビア、スペイン、ニュージーランドなどでも認められ、近年合法化する国が増加しています。なかでもスペインは元来自殺をタブー視するキリスト教カトリック信仰が強かった国でしたが、2021年に安楽死を合法化。最近の世論調査でも自殺幇助を過半数が支持しているそうです。

そうしたなか、スイスでは近年、自殺ほう助が急激に増加。2003年は187件だったものが2022年は1,594件となっています。当国では刑法で積極的安楽死は禁止しているものの、自殺ほう助は利己的な動機でない場合は認められていますが、注目すべきは"自殺ほう助団体”の存在です。

そうした組織が国内に複数あり、なかにはスイス国外の人も登録できる団体も。実際、「ディグニタス」という団体には1万人以上の方が登録するなか、約9割がスイス以外に居住する外国人。日本人も50名以上登録しているとのことです。

◆日本における安楽死の現状

世界的には合法化が進む安楽死ですが、日本ではまだまだ議論の最中です。現状では、死を望む患者を殺害・自殺を援助した場合は「自殺関与・同意殺人罪」、患者が死を望んでいたとは認められない場合は「殺人罪」に問われます。

ちなみに1995年、東海大病院で家族の求めで医師が末期がん患者に薬剤を投与し、患者が亡くなった件に対し、横浜地裁はこの医師に執行猶予付きの判決を下しています。そして、安楽死を許容する要件として「耐え難い肉体的苦痛がある」、「苦衷緩和の方法を尽くし手段なし」、「死期が迫っている」、「本人の意思表示あり」と示されています。

キャスターの豊崎由里絵は、「(安楽死は)本人の決断が自暴自棄になっているときなのか、それとも冷静に判断しているのかという見極めが難しい」と案じつつ、「ただ、議論はやめてはいけないと思う。みんなでどうするのか話し合うべき」と引き続き議論の余地があることを訴えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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