長崎県佐世保市の観光名所「九十九島」。美しい景観が魅力の一方、沿岸には漂着した海ごみが山積する。九十九島水族館(海きらら)は九十九島の海ごみを使い、ストラップなどの商品を開発、館内などで販売している。担当者は「現状を知り、海洋ごみを減らす意識につながれば」と期待を込める。
2020年、海きららは九十九島の海ごみ問題を啓発し、改善につなげようとプロジェクトを開始。年3回ほど、職員が島に渡り、1時間半ほどかけて海岸でごみを回収している。1回で70キロほど集まる。7割ほどは国内のごみで、ペットボトルや漁具が多いという。拾ったごみを館内で展示し、啓発している。
厚みのあるプラスチックなどは一日かけて洗浄し約20センチ角に細断。“素材”として神奈川県の専門業者に販売し、イルカ型のキーホルダーや小物置きなど10種類に加工したものを買い取って、21年8月から販売している。
海外からの海ごみには赤や青、黄色など「色鮮やかなものが多い」という。特徴を生かして、小物置きには白と青を使い、島々の砂浜と海を表現するなど、趣向を凝らす。年々売り上げは伸びており、昨年4月以降でも2千点以上を販売した。今年4月以降は15種類に拡大する予定だ。
利益は島に向かう船の燃料費などプロジェクトの費用に充て、持続可能な活動にしている。水族館などを運営する「させぼパール・シー」販売課の富田優子さん(47)は「商品の購入が、SDGsに貢献していると知ってもらえたら」と話した。