年齢を重ねてからのほうが似合う着こなしがあります。「生涯身につけることはないと思っていたものが似合うようになると、ますますおしゃれの楽しみが広がる」と、グッドエイジスタイリストの花本幸枝氏は言います。花本氏の著書『今日からもっと自由に楽しく 60歳からの着こなし』より、詳しく見ていきましょう。
おしゃれは色使いで広がる
私たち世代にとって「白」は最強カラーです。そうはいっても白ばかりでは飽きてしまいますよね。
うれしいことに、私たち世代は、キレイな色が似合うようになります!
私も50代になるまでは、黒やベーシックカラーばかり着ていました。着慣れていないのもあるでしょうが、キレイな色をどう着こなしたら良いのかわからなかったんですね。
ところが50歳を過ぎた頃から、急にキレイな色が似合うようになりました。髪を染めるのをやめたのもあるでしょうが、いちばんは顔がくすんできたからだと思います。その時、初めてキレイな色を着る楽しさを知りました。
15歳年上の、憧れの女性がいます。彼女の着こなしは、いつも色合わせが素敵でとてもエレガントでした。ベーシックな装いに、ふわっと巻いたストールの色が絶妙なバランスをつくったり、ビビットなインナーの差し色に驚いたり。こんなふうに色を着こなせたら、素敵な女性になれそう……と、会うたびに思いました。
色を楽しめるようになり、そんな着こなしに、私も少し近づけたように思います。
最初に試したのは、ストールやスカーフなどの小物です。いつものコーディネートに巻くだけで、格段に顔映りが明るくなります。
色を味方につけると、おしゃれが楽しくなります! どんなデザインの洋服を着ているかよりも、何色を着ているかのほうが印象に残ります。色を効果的に使えば、同じコーディネートでもイメージを違えて見せることもできますよ。
そうはいっても、いきなりキレイな色の洋服を着るのは、抵抗があるかもしれません。まずは、小さい物から始めてみましょう。
歳を重ねたほうが似合うものもあるんですね。生涯身につけることはないと思っていたキレイな色が似合うようになって、ますますおしゃれの楽しみは広がりました!
色を楽しむのは「ミニスカーフ」から
色を楽しむコーディネートは、ミニスカーフから始めるのをおすすめします。スカーフなんてどう結んでいいかわからないし、何に合わせて良いかもわからないと思われるでしょう。実は私も、スタイリストのくせにスカーフの結び方が苦手です。
普通サイズのスカーフは、今でもどう結んだら良いのか迷いますが、ミニスカーフなら小さいので、さっと結ぶだけでさまになりますから大丈夫ですよ。ミニスカーフの効果は、コーディネートのアクセントだけでなく、首を温めてくれるので体温調節にもなります。冬場に限らず、クーラーで気温差の大きい夏場にも活躍してくれますから、私は年中バッグに入れています。
ミニスカーフの選び方は、いつもより数段鮮やかなものを選びましょう。結んだときに見える分量が小さいですから、「少し派手すぎない?」と思うくらいでも、鏡から1.5メートル離れてみると、程良いアクセントになっていることが多いですよ。
スカーフに限らずストールなどの巻き物は、幾通りかに結んで、色の出方を確認しましょう。特にスカーフの場合は、結んだ時と広げた時の色の出方がかなり違います。ミニスカーフの中でも、初心者さんにおすすめなのが、プリーツタイプです。
プリーツが立体的なので、無造作に結んでもふんわりとさまになります。私がおすすめするのは、ZARAやH&Mなどプチプラのインポートのミニスカーフです。理由は、日本のものよりも、鮮やかな配色が多いことと、ポリエステルなので気軽に家で洗えるからです。首は汗をかきやすいですから、洗濯がラクなのは大事ですね。
今まで手に取ったこともないような鮮やかな色を購入するのは、躊躇されるでしょう。だからこそ、プチプラで思い切ってキレイな色にトライしてください。
[図表1]スカーフ/ ZARA、ニット/スタニングルアー 出所:『今日からもっと自由に楽しく 60歳からの着こなし』(大和出版)より抜粋
もうひとつは、古着屋さんのスカーフです。レトロな色合いやモチーフは他にはない味わいがあります。広げて使うわけではありませんから、多少のシミや穴があっても大丈夫ですよ。
最近実感したスカーフのメリットは、Zoomのときの首のシワを隠してくれることです。リモートだとモニターに顔がアップで映りますよね。スカーフを巻くだけで、きちんと感も出ますし、顔周りが華やかになりますから、かなりおすすめです。
スカーフは、古臭いという方もいらっしゃいますが、私は歳を重ねるほど、品良く似合うようになるファッションアイテムだと思います。だからこそ、もっと活用してほしいです。
「旬」な小物使いで、おしゃれ度が上がる
次におすすめするのが、バッグや靴など、洋服以外のもので色を足す着こなしです。洋服がベーシックでも「小物が旬なもの」だとおしゃれ度が上がります。バッグはブランドもの……という方も多いと思いますが、リーズナブルでトレンド感のあるものを、数シーズンと割り切って持つのもアリです。
靴とバッグは黒が合わせやすいからと、どんなコーデにも合わせる方がいらっしゃいますが、それをした途端に、おしゃれが遠のいてしまいますよ。
スカーフと同じように使えるのが、プロデューサー巻きと呼ばれるセーターの肩がけです。これならスカーフのように結び目を気にすることもありません。
まずは小さなものから新しい色を取り入れて、色と仲良くしてみましょう!
花本幸枝
グッドエイジスタイリスト