3月16日に決勝レースが行われた伝統のセブリング12時間レースは、フィニッシュまで残り6分の段階でトップが入れ替わり、40号車アキュラARX-06(ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ)が勝利をもぎ取った。当時同マシンをドライブしていたルイ・デレトラズは、アキュラをフロリダの“耐久クラシック”で初めてビクトリーレーンに導いたことについて、ライバルをオーバーテイクする「チャンスが見えた」と語った。
スタートから11時間54分が経過した段階で総合2番手につける40号車アキュラのステアリングを握っていたデレトラズは、チェッカーまでの時間が迫るなか、セブリング・インターナショナル・レースウェイのターン7でセバスチャン・ブルデー駆る01号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)のインにマシンをねじ込み逆転に成功。昨季2023年からアンドレッティとの提携を開始したウェイン・テイラー・レーシングにGTP時代最初の勝利をもたらした。
このスイス人ドライバーはレース後、「クルマは最後まで本当に強かったし、僕たちが勝てる位置にいることはわかっていた」と述べた。
「公平に言えば大きなプレッシャーだった。実際にやったことはなかったし、デイトナが初めてだった。(IMSAの)レースで完走したのはこれが2回目なんだ」
「もちろん勝ちたかったし、皆にチャンピオンシップポイントをもたらしたかった。チャンスが見えたんだ。でも、セブ(セバスチャン・ブルデー)はタフだった。だけど彼はフェアだった。彼に感謝しているよ」
「最終的には(後ろとの)ギャップを見て僕はそれに取り組み、さらにペースを上げて勝利した」
レース最多の97周をリードしたチップ・ガナッシ・レーシングの01号車キャデラックを追い抜くチャンスは他にもあると感じたか、とSportscar365に問われたデレトラズは、多くのチャンスを評価したと答えた。
「(01号車キャデラックに)近づくたびにイエロー(・コーション=セーフティカー)が出て、それは助けにならなかった」と彼は語った。
「僕はとくにターン7やターン10のような低速コーナーでのブレーキングに強みを感じていたが、彼は接近するたびにイン側を抑えてうまくディフェンスしていた。僕はアウト側にいたため、押しのけられることもあった。アウト側を走るのは無理だとすぐにわかったよ」
「(オーバーテイクを決めた)ターン7ではわずかに隙間があり、そこを狙ってブレーキを掛けてインに入っていった。(直後の切り返しで)彼が戻ってくるのを避けようとした」
「その後、ストレートで少し接触があったと思うが、これもハードなレースだったけどフェアだと思う。最終的にはふたりとも最後まで走りきることができたのだからね」
「僕ひとりではできなかった。彼が僕をリスペクトしてくれなかったら、ふたりともウォールに突っ込んでいただろう。だから、本当に感謝しているんだ」
セブリングで2度目の総合優勝を飾ったジョーダン・テイラーは、NTTインディーカー・シリーズのスターであるコルトン・ハータを含むトリオで勝利を収めたことについて、デレトラズの功績を認めている。
「ルイ(・デレトラズ)の最後のスティントが今日の勝敗を分けた」とテイラー。
「チームは僕らを戦わせるために良い仕事をしてくれたが、彼は本当に勝利のために戦い、僕らのためにそれを手に入れてくれた」
■「接触が多すぎた」とブルデー
レース後、2位に終わった01号車キャデラックのブルデーは、デレトラズのドライビング、とくにパスシークエンス中に2台が接触した回数に疑問を抱いた。
両車の接触はいずれもIMSAのレースコントロールによって審議されていない。すなわち、レーシング・インシデントと見なされた。
「ルイは僕が仕掛けたと思っているようだ」とブルデーは語った。
「少しショックを受けている。確かに接触が多すぎた。フロアの両サイドやリヤにも大きなダメージがある」
「僕たちはふたりとも非常に幸運だったと思う。ホイールのステムが破れていても不思議ではなかった。もしかしたら最後の数周で4、5回はパンクしたかもしれない」
「そうなることは慣れていないし、あまり好きではないんだ」
「正直なところ、(あれだけの接触は)彼には必要なかったと思う。彼らのクルマにはペースがあったのだから」
優勝を争ったデレトラズを非難しつつ、ブルデーはWTRアンドレッティに敵わなかったことを認めた。
「とにかく、彼らには脱帽だ」と述べた45歳のブルデー。
「彼らは最後に差をつけるだけのパッケージを持っていた。僕らは2位に甘んじるしかなかったんだ」
投稿 ラスト6分で勝利を掴んだデレトラズ「チャンスが見えた」。敗れたブルデーは接触に苦言/セブリング12時間 は autosport web に最初に表示されました。