広島県尾道市の住宅を放火し、祖父を殺害した罪に問われている男の裁判員裁判が18日、広島地裁で開かれ、検察側は懲役18年を求刑しました。
殺人と現住建造物等放火の罪に問われているのは、尾道市に住む無職の男(24)です。
起訴状によりますと、男は去年5月、祖父(当時79)が住む2階建ての住宅で、1階ののれんに火をつけて全焼させ、祖父を急性一酸化炭素中毒により殺害したとされています。
この裁判では、検察側も男に知的障害があることは認めていて、量刑が争点になっていました。
18日の裁判で検察側は、殺害の動機について「被害者からの暴言や物を投げられるといった行為にストレスをため、恨みを晴らすため犯行に及んだ」と指摘しました。さらに「ライターを事前に購入して被害者に気付かれないよう侵入し、放火前に自身の荷物を外に出すといった一定の計画性が認められる」としたうえで「知的障害の影響は軽微で、被害者を焼き殺し周辺の住居にも延焼が生じた残虐かつ危険極まりない犯行」として懲役18年を求刑しました。
一方、弁護側は「被告は知的障害の影響で行動制御能力が乏しく、違法性の強弱といった善悪の判断能力が十分でなく心神耗弱の状態であった」と主張。「動機も被害者からの仕打ちに対する仕返しで、情状を酌量するべき」などと主張して執行猶予付きの判決を求めました。
裁判長に最後に言いたいことを問われた男は、数分間沈黙したのち「(言いたいことは)ありません」と述べました。
判決は22日に言い渡されます。