再審開始の判断を確信「父ちゃん、力貸してや」 日野町事件、元受刑者の阪原弘さんの墓前で長男

阪原弘さんの墓前で手を合わせ、近々最高裁で再審開始支持の決定が出るだろうと励ます長男弘次さん(17日午後、滋賀県日野町)

 1984年に滋賀県日野町で酒店経営の女性が殺害され金庫が奪われた「日野町事件」で、服役中に死亡した元受刑者の阪原弘(ひろむ)さんの命日に合わせ、遺族が17日、日野町内で阪原さんの墓参りをした。近く最高裁の決定が出ると、励ますように語りかけたという。

 阪原さんは再審請求中の2011年3月18日、75歳で病死した。翌年、遺族が第2次再審請求を申し立て、18年7月に大津地裁、昨年2月に大阪高裁が再審開始決定を出した。高裁の決定に大阪高検が特別抗告し、今後最高裁が判断を示す。

 この日は小雨が降る中、長男弘次さん(62)が墓石を清め、阪原さんが好きだったという日本酒を供え、静かに合掌した。父には「長い間よう頑張ってきたな、もうすぐ無罪判決出るで」と伝えたという。

 再審開始の判断を確信しているものの、別の再審請求事件で最高裁が一転、再審開始決定を取り消した例を念頭に、一抹の不安もある。墓前では「父ちゃん、力貸してや」と願ったという。

 また、再審を巡る刑事訴訟法の規定(再審法)改正を目指し、超党派の国会議員が11日に議員連盟を設立したことについて、「地裁の決定に検察が抗告しなければ、とっくに再審公判が始まっていた。あの時に法改正されていれば、という思いをずっと持っていた」と話し、法改正の実現に期待を示した。

© 株式会社京都新聞社