フリクション史上最細の0.3mmが登場! 手帳書きにも最適な極細を実現した“シナジーチップ”の正体とは?

By きだてたく

“消せるボールペン” の代名詞、パイロット「フリクションボール」シリーズ。2007年の発売以降、世界中でシリーズ累計30億本以上が売れている大人気シリーズなので、もはや知らない人はいない、と言っても過言ではないだろう。

フリクションシリーズのスタンダードと言えば、初代がキャップ式「フリクションボール」(2007年〜)、2代目が現在でもお馴染みのノック式「フリクションボールノック」(2010年〜)である。そして、新たに3代目のザ・フリクションボールとなるのが、2024年3月に発売したばかりの「フリクションシナジーノック」だ。

↑2010年の発売以来、長きにわたってシリーズの中心だった「フリクションボールノック」

今回は、そんな超メジャーなボールペンのスタンダードモデルがついに代替わりする! ということをお伝えしつつ、その新スタンダードモデルの使い勝手を紹介していこう。

新スタンダードはフリクション×シナジーチップ

フリクションシナジーノック(以下、シナジーノック)は、シンプルなグレーの軸が外見的に目立つポイントとなっている。従来のフリクションは基本的に軸色=インク色だったが、今回からはインク色は半透明のクリップノック部で表示されることになるようだ。端的に言えば、共通部品を増やすことで生産コストを下げようという試みだろう。

パイロット フリクションシナジーノック各250円(税別) 全8色

カラーラインナップは、既存の全8色(ブラック・ブルーブラック・ブルー・ライトブルー・グリーン・オレンジ・ピンク・レッド)。個人的には、2023年発売の「フリクションWaai」から登場したベルベットレッドなどの新色もスタンダード化して欲しかったのだが、それはまた今後に期待したい。

何より注目なのが、その名の通り、ペン先に「シナジーチップ」を搭載していること。シナジーチップとは、同社のゲルボールペン「ジュースアップ」にも搭載されている、コーンチップとパイプチップを融合させたような、言わば “いいとこ取り” の高機能チップだ。インクフローが良好で、とにかくサラサラとなめらかな筆記感が特徴。これまでのフリクションシリーズでは、シリーズの傑作として名高い「フリクションポイントノック04」(以下、ポイントノック04)にも搭載されていた。

↑先端視界の良さと、たっぷりしたインクフロー性能を併せ持つ「シナジーチップ」
↑シリーズで初めてシナジーチップを搭載した、「フリクションポイントノック04」(写真左)と基本的な性能は近い

実際に書き比べて見ても、ポイントノック04とシナジーノックの書き味に違いは感じられない。いずれもたっぷりインクが出て、妙なクセもなく素直に書きやすい、といった印象である。インクがたっぷり吐出されるため、従来のフリクションボールノックより描線がやや濃い色に見える点も、一般的に発色が薄いフリクションインクだからこそありがたい。

↑近年のトレンドでもある “たっぷりめのインクフローでサラサラ書ける” タイプの書き味で、快適性は高い

なお、シナジーノックの登場によって、ポイントノック04は終売となるようだが、少なくとも書き味に限って言えばシナジーノックに不安を感じる必要はないだろう。ちなみに、ポイントノック04のデザインが好きという人は、軸だけ残しておけばリフィル交換で対応可能だ。

フリクション初の極細0.3mmが登場!

もう一つ大きなポイントとなるのが、ローンチ時点で0.5mm、0.4mm、0.3mmのボール径が揃うということ。なかでも、フリクションシリーズとして初となる激細0.3mmは、大注目株と言えるだろう。

↑画像左から、ボール径0.5mm、0.4mm、0.3mmの3種類がラインナップされる

そもそも、フリクションボールペンは、書き消しが可能ということで、手帳と組み合わせているユーザーが多い。加えて、昨今はM5などの小型手帳が人気ということもあり、より細書きできる性能が求められているのは間違いない。つまり「0.3mmは間違いなく売れるよね」という話である。

↑0.3mmは驚きの細さ。これなら手帳の3mm方眼にも書きやすそうだ

実のところ、フリクションのインクは粒子が大きいため、これまでは高フローのシナジーチップであってもここまで細いボールには対応できなかったという。そこで、パイロットは快適な書き心地を実現するために、0.3mm専用のシナジーチップを新たに開発した。

試しに0.3mmで書いてみると、こんなに細い線がフリクションで書けるのか! と驚愕したほど。シナジーチップらしいインクリッチな書き味……とまでは言いづらいが、それでも一般的な0.3mmゲルインクと書き比べると、明らかになめらかだと感じられるはず。ただし、筆記角度はわりとシビアで、意識して紙に対してほぼ垂直に立てないと、すぐにガリガリとした引っかかりを感じてしまうので、そこは要注意だ。

↑激細0.3mmだが、思ったよりもサラサラと気持ち良く書くことができる

ボール径の数値は軸に記載されているが、グレー地に白印刷なので、慣れないうちはパッと視認しづらいかもしれない。それであれば、軸後端のイレイザーが、0.3mm(白)、0.4mm(グレー)、0.5mm(濃いめのグレー)と色分けされているので、これに慣れるほうが良さそうだ。ちなみに、従来のフリクションボールノックでは、0.5mmが白イレイザー、0.7mmがインク色イレイザー、1.0mmはグレーのイレイザー+クリップノックがインク色、と表示パターンがバラバラだったので、シナジーノックのように、最初からパターンを統一してくれるのはありがたい。

↑ボール径は軸の印字か、イレイザーの色で判断する。ひとまず「色が薄いほうが細い」と、覚えておくといいだろう
↑リフィルは従来と共通。ボール径の数字の後に記載された「S」(synergy)が、シナジーリフィルの目印となる

個人的にも、ボールポイント04やジュースアップなどでシナジーチップの良さを体感していたので、今回のフリクション×シナジーチップのスタンダード化には、「パイロット、よくやった!」という思いが大きい。それに加えて、0.3mmという超極細フリクションは、筆者以外にも待ち望んでいたユーザーが多いはず。

とにかく、フリクションでカリカリと小さな字が書けて消せるというだけでもかなりのインパクトがあるので、店頭で見かけたらまずは手にとって試してみて欲しい。

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