エース石川祐希の躍動に現地解説は感嘆! 敵将は悔しさ露わ… チーム最多得点の活躍もミラノは4強入りへ崖っぷち

現地時間3月16日、バレーボールのイタリアリーグ/スーペルレーガで2023-24シーズンのプレーオフ準々決勝第3戦が行なわれた。男子日本代表の石川祐希が所属する6位アリアンツ・ミラノは、3位ガスセールズ ブルーエナジー・ピアチェンツァとアウェーで対戦し、セットカウント2-3(22-25、25-23、25-17、29-31、12-15)で惜しくも敗れ、成績を1勝2敗とした。準決勝進出には、次のホーム戦で勝利して第5戦へ持ち込むことが不可欠となった。

第2戦でセットを先取した後、石川のサーブでギアを上げたピアチェンツァに対抗するもホームで敗戦を喫したミラノ。1勝1敗で迎えた第3戦で勝利を取り戻すべく、10日前に白星発進を飾った敵地へ再び乗り込んだ。

プレーオフ2試合の通算スタッツで、ミラノは出場8チーム中、得点3位(135)、アタック4位(103)、エース2位(15)、ブロック4位(18)、レセプションAパス成功数6位(28)。ピアチェンツァは、得点2位(148)、アタック2位(109)、エース1位(20)、ブロック1位(25)レセプションAパス成功数5位(31)と、首位2部門以外でも上位を占めた。

ミラノで際立つパフォーマンスを見せているのは、なんと言ってもアウトサイドヒッター(OH)石川だ。個人ランキングのエース部門で単独首位(6本)。得点とアタック決定本数でともに8チーム全選手の中で4番目の数字を叩き出し、トップスコアラーとしてチームをけん引している。

そのエース石川を筆頭に、ミラノの先発は初戦から同じメンバー。OHマテイ・カジースキ(ブルガリア)、ミドルブロッカー(MB)がアグスティン・ロセル(アルゼンチン)とマルコ・ヴィテッリ(イタリア)、オポジット(OP)にフェレ・レゲルス(ベルギー)、司令塔はパオロ・ポッロ(イタリア)。

ピアチェンツァも布陣を変えず、セッターのアントワヌ・ブリザール(フランス)、OHはブラジル代表のリカルド・ルカレッリとイオアンディ・レアル、MBがロベルトランディ・シモン(キューバ)とエドアルド・カネスキ(イタリア)、OPにユーリ・ロマノ(イタリア)を起用して臨んだ。

石川のブロックアウトで試合をスタートさせたミラノは、相手の強力なサーブにレセプションを乱され序盤から劣勢を強いられる。ビハインドが5点差まで広がるなか、このセットでアタック決定率100%をマークした石川の後衛からの攻撃やヴィテッリのブロックで相手のセットポイントを阻止するも、逆転には及ばず1セット目を落とした。
第2セット、中盤まで続いた接戦をピアチェンツァがロマノのエース1本を含む3連続ブレークで抜け出す。しかし、すぐさま石川がサーブで抗戦し、3連続ブレークを返して逃げ切りを許さず。2点ビハインドで迎えた終盤、ミラノの猛反撃を先導したのも石川だった。バックアタックとブロックによる連続得点で21-21。さらに悪球を果敢に打ち切りと、対応を迫られ精度を欠いた相手の攻撃をヴィテッリが狙いすましたブロックで阻止。そして、石川に替わってコートインした主将のMBマッテオ・ピアノ(イタリア)がライトからの一打で引き寄せたセットポイントを、ポッロのエースで仕留めて試合を振り出しへ戻した。
勢いを維持したミラノは、第3セットを序盤からリード。中盤には、石川とロセルのサーブで5点差をつける。さらに終盤、再び石川のサーブがピアチェンツァに襲い掛かり、4連続ブレークでセットポイント。8点差でセット連取に成功した。

第4セットは競り合いのまま終盤へ突入。相手のアタックミスでリードを1点とした直後に石川が2枚ブロックの間を抜く豪快弾で2点差とすると、後がないピアチェンツァはすかさずタイムアウト。それを意に介さず、背番号14はスペースを見極めた技ありの打球で得点を重ねる。2点差でマッチポイントを握り、勝利に王手をかけたミラノだったが、MBシモンの連続ブロックで巻き返しを許して大激戦へ。最後は相手MBカネスキの連打を浴びて勝負は最終セットへともつれ込んだ。

第5セットの序盤、ミラノはリードを2点へ広げるチャンスに、後衛のポッロがネット前でジャンプせず両手に相手の打球を当てて返球すると、審判がファウルをコール。ロベルト・ピアッツァ監督や選手が猛抗議するも判定は覆らず。それでも1点のリードを維持したミラノだったが、ルカレッリのサーブでレセプションに苦しみ、攻撃でもミスが出て3点のビハインドを負う。ヴィテッリのエースに続き、石川がネット際の好判断で11-11としてチームを鼓舞するが、ロマノに2連続でエースを決められ再び後退。最後はポッロのサーブがネットを越えず、惜敗でピアチェンツァに2勝目を譲り渡した。 4セット目の途中までアタック決定率86%をキープした石川は21得点(アタック18、エース1、ブロック2)を記録して、2試合連続でチーム最多得点を挙げた。
国際バレーボール連盟の配信サービス『Volleyball TV』で解説を務めたジャーナリストのシモーネ・カルパニーニ氏は、第3セット終盤に石川が自身のサーブでお見舞いした今季公式戦(欧州大会を含む)アタック300得点目を始め、6本を沈めたバックローからの攻撃に、「凄烈!超速!」「まるでミドルの速攻」と感嘆の声を上げた。また、ピアチェンツァのアンドレア・アナスターシ監督は、昨季のプレーオフで前任ペルージャの4強入りを阻んだ石川を警戒。得点シーンの直後に度々タイムアウトを要求したほか、重要な場面でアタックを決められると拳を振り下ろして悔しがった。

実力伯仲の両者。1勝2敗となったミラノが準決勝進出を叶えるには、日本時間3月25日午前4時30分から本拠地で開催される第4戦に勝利して最終戦へ持ち込まなければならない。石川のさらなる躍動が期待される一戦となる。

構成●THE DIGEST編集部

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