鹿児島県警、捜査情報流出は100事件超か 調査・捜査態勢を拡大、流出経緯は分からず

 鹿児島県警の捜査資料とみられる文書が流出し個人情報が漏えいした問題で、県警は18日、新たに二つの事件に関する被告訴人2人の実名などの捜査情報が流出していたと公表した。100件を超える事件の資料が外部に漏れた可能性が高いとして、刑事、警務部を中心とする捜査・調査チーム(西畑知明警務部長)の態勢を強化した。

 同日の会見で野川明輝本部長はさらなる個人情報流出の可能性が判明したことについて、「ご迷惑と心配をかけ深くおわび申し上げる。重く捉え、調査・捜査を進めて事案の解明を進める」と陳謝した。

 県警によると、新たに流出したとされるのは、事件の処理経過を管理する文書「告訴・告発事件処理簿一覧表」。ウェブメディアが16日、被告訴人の国会議員や首長の実名やマスキング加工された取調官の氏名が載った一覧表の画像数枚とともに、「数十枚の一覧表が手元にある。事件100件超、法人や個人など約300人の個人情報が記載されている」と報じた。

 県警は記事内容から、確認できた流出分以外にも多くの個人情報を含む資料が外部に流れた可能性が高いと判断した。刑罰法令違反も視野に捜査するため捜査・調査態勢を約50人に強化。18日、国の個人情報保護委員会に報告した。

 流出の経緯は分かっておらず、県警内部からの持ち出し、外部からのサイバー攻撃などあらゆる可能性を想定し調べている。

 情報漏えいを巡っては、別のウェブメディアが昨年10月、一部黒塗りにした県警の捜査資料とみられる文書を掲載した。新型コロナウイルスの療養施設で県医師会の元職員の男性から性的被害を受けたとして刑事告訴した女性側の代理人弁護士が今年2月、「個人情報の流出があり、県警から謝罪の申し出を受けた」と会見。県警が今月12日、事件4件12人分の個人情報漏えい事案として公表したばかりだった。

捜査情報漏えいについて説明する野川明輝本部長=18日、鹿児島県警本部
〈別カット〉捜査情報漏えいについて説明する西畑知明警務部長(右)=18日、鹿児島県警本部

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