卒業祝い時計修理 高岡・伏木小OB 3年ぶりに針動く

修復した時計の前で記念撮影する卒業生=高岡市伏木小

  ●児童「僕たちも一歩ずつ」

 高岡市伏木小のOB有志は児童に親しまれる前庭の時計を修理した。時計は3年前に落雷で故障し、止まったままになっていた。18日、卒業式を迎えた児童が、時を刻み始めた時計の下で保護者、在校生、教職員に見送られ、震災に負けない思いで新たな一歩を踏み出した。

 時計は、1992年の卒業生から卒業記念で贈られた。伏木小OBで、PTA組織「育友会」の副会長を務める林隆史さん(44)=92年卒=と、前会長の奥原理さん(43)=93年卒=が、壊れた時計を修理するため、昨年12月に92、93年の卒業生計約200人から寄付金60万円を募った。

 玄関に面した前庭は、朝のあいさつ運動や卒業生を見送るイベントなどに使われ、二上山など地元の自然を表現したモニュメント「ふるさと公園」もあり、児童に親しまれている。

 能登半島地震で被害を受けた伏木地区のため、寄付金を義援金とする案も出たが、直った時計で子どもたちに明るい気持ちになってもらいたいとの思いで、時計を修理することにした。

 18日、伏木小で卒業式が行われ、式典後、前庭で卒業生37人を送る「歓送式」が行われた。山岸英紀校長は動き出した時計に触れ、「長く止まっていた時が動きだした。次のステージに向かって、いってらっしゃい」と卒業生の背中を押した。

 卒業生代表の舟本篤史君(12)は「1秒、1分ずつ針が進む時計のように僕たちも一歩ずつ進み、明るい人生にしたい」と語った。

 時計を修復した林さんは「これからも前庭に子どもたちの明るいあいさつが響くことに期待している」と話した。

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