賜杯夢から目標に 大の里「無心で集中」 19日は尊富士戦

  ●「ざんばら23歳」と「ちょんまげ24歳」大一番へ

 津幡町が誇る大器が浪速の土俵を沸かせた。大相撲春場所9日目の18日、西前頭5枚目の大の里(津幡町出身、二所ノ関部屋)は、この日もすさまじい出足と圧力で、実力者を一気に押し込んだ。10日目の19日は新入幕で初日から無敗と波に乗る尊富士(たけるふじ)との一戦。1敗で追うざんばら髪の23歳と、まだ大銀杏(おおいちょう)を結えない24歳の新世代が相まみえる。

 大の里にとっては19日も負けられない一番となる。先場所千秋楽の取組後、三賞の表彰式を終えて戻った支度部屋で、優勝した照ノ富士が万歳三唱していた光景が今も目に焼き付いている。「優勝が夢から目標に変わった。天皇賜杯を間近で初めて見て『抱きたいな』と思った」と振り返る。

 その前に立ちはだかるのが、全勝の尊富士だ。18日は初の三役挑戦で幕内優勝経験のある阿炎を押し出した。大の里戦に向けても「ここまできたら弱い人はいない」と闘志を燃やす。

 これに対し、大の里は「何も考えずに集中する」と無心で挑む構え。八角理事長(元横綱北勝海)は「2人は優勝もあるかもしれない。楽しみな一番だ」と話した。

  ●津幡に笑顔と安堵

 大の里行きつけのすし店「鮨正」(津幡町)を営む小山圭介さん(49)は「勝ち越しを見ることができてほっとした」と話した。店に訪れた中村智さん(61)=同町舟橋=は「全国に津幡町の名前が知られることは誇らしい」と笑顔を見せた。

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