東京再発見 第10章 空が広い街~台東区西浅草・合羽橋本通り~

日本の街は、空が狭い。

その理由は、電柱とそこから伸びる電線にある。例えば、観光地に赴き記念写真を撮ろうとすると「頭に角が生えたり」「顔が分断されたり」、かなり興ざめだ。そのため、昨今では、電柱・電線の地中化がさまざまなところで進められている。

夜のスカイツリーも綺麗に見える## 地中化の最大理由は・・・

ビルが高層化傾向にあるため、火災の際に大きなはしごのついた消防車が活躍する。しかし、道路に電線が縦横無尽に張られていると速やかに消火活動ができない。それを解消することが、地中化と言われる。

その故、近年、大都市での電柱・電線の地中化が進み始めている。

また、江戸情緒を感じる宿場町、長野県妻籠宿や福島県大内宿などは、かなり昔から地中化が進められていた。こちらは、時代劇のロケ地などとして活用することも視野に入っている。

訪日外国人も数多く行き来する

さて、台所用品の問屋である合羽橋。その問屋に訪日外国人も買い物に来るようになった。南北に走る「かっぱ橋道具街通り」と直角に走る東西の通りが「合羽橋本通り」だ。そして、浅草国際通りから合羽橋交差点までが2018年に地中化された。その姿を見ると、空がとても広く感じる。

夕暮れ、自転車も颯爽と

観光地も第一印象が重要だ。

広い空は、気持ちを豊かにする。そして、見える景色も重要だが、それ以上に、下町の人々との触れ合いも素敵な時間となる。

「合羽橋本通り」は、浅草国際通りから上野駅のそば、清洲橋通りを越え、昭和通りまでを結んでいる。ちょうど真正面にスカイツリーを拝むことができる。

しかしながら、合羽橋交差点の東西で、その景観が大きく違う。それは、まさしく、空の広さだ。

「下町七夕まつり」、にぎやかになる季節

七夕飾りも少しばかり、窮屈そう・・・

さて、ここが一年で一番華やかになるのが、7月上旬。

七夕の時期、色とりどりの飾り付けが町をにぎやかにする。そして、商店街の一つひとつのお店が競い合って、お祭りを盛り上げる。初夏の宴、「下町七夕まつり」が始まる。また、週末には、通りが歩行者天国となり、数多くの方々が訪れる場所に変貌する。

時を同じくして、近くの入谷鬼子母神でも朝顔市が開催される。二つのお祭りの競演によって、より多くのお客様が入谷から浅草まで、祭りのはしごをしていくのだ。

朝顔の鉢を片手に、お気に入りのお店の前で昼飲み、まさしく、至福の時である。歩行者天国には、にわかテーブルも出現。そして、初めて会った人々が同じテーブルで宴を催す時間、下町の良さ・素晴らしさを感じる瞬間だ。

残念なことに、七夕まつりの時期は梅雨末期。雨降りのことが少なくない。スカイツリーもゲイン塔が雲の中に隠れてしまう。また、合羽橋交差点の東側・西浅草地区は電柱がないが、西側・松が谷地区は未だに電柱が健在。そのため、七夕飾りもとても窮屈な感じがする。

やはり、第一印象、大切である。

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取材・撮影 中村 修(なかむら・おさむ) ㈱ツーリンクス 取締役事業本部長

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