北陸新幹線・金沢~敦賀間が開業/北陸の交流圏域拡大へ

北陸新幹線の金沢駅(金沢市)から敦賀駅(福井県県敦賀市)を結ぶ路線125キロが16日、待望の開業を迎えた。北陸地方と首都圏・関西圏の交流促進など大きな開業効果が期待される。同日早朝に各駅で一番列車の出発式が開かれ、新たな門出を盛大に祝った。=1面参照
同区間は2015年3月の長野~金沢(約228キロ)に続く延伸部。小松駅と加賀温泉駅、芦原温泉駅、越前たけふ駅、敦賀駅の5駅を新設した。今回の開業で東京~敦賀間を最速3時間8分で直結。敦賀駅で在来線特急から乗り換えることで、大阪~金沢間は約22分、大阪~富山間は約29分、所要時間が短縮される。
05年に福井駅部を先行整備して以降、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の発注で順次工事を進めてきた。延長115キロのうち約52%を高架橋が占め、トンネルは12本、橋は298カ所に設置。新幹線初の鉄道・道路一体橋梁「九頭竜川橋りょう」や「新北陸トンネル」(延長約20キロ)など象徴的な施設が多数完成した。
同日敦賀駅では、JR西日本の長谷川一明社長のほか斉藤鉄夫国土交通大臣、杉本達治福井県知事、藤田耕三鉄道・運輸機構理事長ら来賓が式典に出席。長谷川社長は「敦賀が東京と大阪、名古屋からの交通結節点となり、今後多くの人々が北陸に足を運ぶだろう。万全の体制で旅客輸送を担っていく」と話した。
斉藤国交相は「記念すべき開業を契機に、能登半島地震の被災地復興に全力を尽くしたい。国土軸のリダンダンシー(冗長性)形成に向けて新大阪延伸の実現に努力していく」と述べた。テープカットとくす玉開披を行い、スペシャルゲスト・中条あやみさんと上島豊敏駅長の出発合図で午前6時11分発の「かがやき502号」を見送った環境影響評価(環境アセス)準備書公表に向けて手続きを実施中。23年度に「北陸新幹線事業推進調査」として、施工上の課題解決に向けた調査を先行的・集中的に行うことが決定している。今回の開業に、松本正義関西経済連合会会長は「きょうまでの関係者の尽力に敬意を表したい。全線開業に向けて、機運醸成と要請活動にまい進していく」とコメントを寄せた。

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