主要設計事務所16社24年春の採用計画、8社が新卒採用増加/本社調べ

日刊建設工業新聞社が主要建築設計事務所16社を対象に実施した人材採用アンケートによると、2024年4月入社予定の新卒採用者数(大卒、高卒などすべてを含む)は371人となる見通しだ。8社が前年実績よりも採用を増やす。23年度の中途採用も8社が増加を見込む。今後の採用方針は、10社が「横ばい」、3社が「増やす」と回答。「減らす」との回答はゼロで安定的に人材を確保していく方向だが、応募者の減少など採用の難しさを懸念する声も上がる。
調査は1~2月に実施した。今春の新卒採用の総数は前年よりも15人減少となる見込み。技術系が大部分を占める状況に変わりはない。日建設計が「中期経営計画に基づく人材確保」を理由に34人と大幅増を予定する。NTTファシリティーズは、NTTグループ内の事業再編で電力関連業務が移管・統合された影響で前年実績よりも59人減少するが、目標とほぼ同水準の採用を確保できている。
AI関連など建築系以外の人材を積極的に採用する動きも出ている。課題には「機械・電気・電子系学生の募集・獲得」(NTTファシリティーズ)や「DX人材の獲得」(日建設計)が挙がる。設備やデジタル分野の人材が引く手あまたの状況は続きそうだ。
中途採用は、回答があった15社の合計が285人で、前年度より30人増加となる見通しだ。増加を見込む企業からは「受注も順調に伸びているため人材補強も進める」(梓設計)、「会社の成長に合わせて各分野で人数を増やす方針」(山下設計)との声が上がる。即戦力となるような専門分野のスキルを求める傾向だ。
採用方法の面では、石本建築事務所やINA新建築研究所、安井建築設計事務所が退職者のカムバック採用に対応。三菱地所設計も退職者再雇用制度の導入や私事休職制度の拡張を図る。
他産業を含めて人材獲得競争が過熱する中で、「応募者が減少してきていると感じる」「大手ゼネコンや資本力のあるコンサル会社からの引き抜きが増加傾向にある」など不安の声も出ている。5社は、24年度の新卒初任給を引き上げた。処遇や制度などの面から、優秀な人材を獲得し維持していくための対応が求められている。

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