復興阻む空き家の対応に苦慮 治安悪化も懸念、能登地震

石川県珠洲市の倒壊した家屋=18日

 能登半島地震の被災地で、空き家が復興作業に影を落としている。全国的にも多い地域であることに加え、2次避難が進み所有者が遠方で生活するケースも増加。道路をふさぐ倒壊家屋の処理の妨げになるだけでなく、治安の悪化の原因となることも懸念されている。

 「どこもかしこもがれきの山。車も入れんわ」。石川県珠洲市の浜野隆夫さん(78)はため息をついた。自宅に続く細い生活道路にはブロック塀が散乱、周辺の道路は倒壊した家屋が大きくせり出したままだ。発生から約2カ月が過ぎても変わらない状況に「この辺は長いこと人がいない家ばかり。片付けようにも家主に連絡をとるのも一苦労なのでは」とこぼす。

 総務省が5年ごとに行っている住宅・土地統計調査によると、最新の2018年時点で、総住宅数に対する空き家率は、珠洲市が20.6%。同じく被害が大きかった輪島市が23.5%、能登町が24.3%と、いずれも全国平均の13.6%を大きく上回った。3市町とも人口減少が進んでおり、実際の空き家率はもっと高いとみられる。

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