逮捕術の名手、茨城県警・須藤さん 全国大会での優勝けん引

逮捕術の全国大会で主力として活躍した須藤達也巡査部長=県警本部

茨城県警に、現行犯や容疑者を取り押さえる際に警察官が活用する「逮捕術」の名手がいる。機動隊に所属し、業務の傍ら訓練に励む「特別訓練員(特練員)」の巡査部長、須藤達也さん(33)。2月に開かれた全国大会では、10回目の優勝を果たしたチームのけん引役として奮闘した。徒手対短刀などさまざまな対戦形式の訓練を欠かさず、県民の安全を守る技術を日々磨いている。

逮捕術は柔道や剣道、空手などを組み合わせた術技で、警察官や海上保安官、麻薬取締官などが容疑者を制圧・逮捕する際に使う。武器を持った相手と対峙(たいじ)するケースも想定し、種目に「徒手対短刀」「警棒対短刀」など異種戦があるのが特徴だ。

須藤さんは2014年に巡査を拝命し、16年に逮捕術の特練員に指定された。高校時代には柔道でインターハイ個人8強を果たしており、運動神経は抜群。特練員になったばかりの同年に開かれた全国警察逮捕術大会では「徒手対徒手」に出場し団体優勝に貢献した。

全国大会の出場選手は同階級同種目に再出場できない決まりのため、その後は「警棒」部門に転向。今年2月の同大会団体戦では「警棒対短刀」を担当し、計5戦で4勝1分けとチームの主力として確かな存在感を示した。

複数種目で出場できる選手は珍しいとされ、監督を務める警部補の小磯仁徳さん(46)は「どちらの種目でも相手の気持ちを考えながら対応できるすごい選手。犯人制圧には最高の警察官」とたたえる。

逮捕術の特練員は現在19人。男性15人は全員が機動隊に所属しており、全体訓練は業務の合間を縫って週3日、2時間半ほど行っている。

須藤さんは今後、複数種目を指導できる強みを生かし、選手兼任コーチとして後進育成に当たりたい考えだ。逮捕術の技術向上は県民の安心安全にもつながるため、「強い警察官が育つことにやりがいを感じる。ともに治安維持できる人材をさらに増やしたい」と意気込んでいる。

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