「だったら、俺もやれる」。蘇る小川航基の力強い言葉。有言実行で再び、日の丸を背負う【コラム】

有言実行――今の小川航基を見れば、この言葉が思い浮かぶ。

2023年1月のインタビュー取材で、小川からすれば不愉快に感じるかもしれない質問をした。カタール・ワールドカップについて、だ。

小川と同世代の堂安律や三笘薫らが世界の舞台で活躍。アンダーカテゴリーの代表で共闘した仲間たちだ。カタールW杯だけでなく、東京五輪の出場も叶わなかった小川は、どんな心境で見ていたのか。

まず口をついて出てきたのは、「世代別代表とかで一緒にやってきた選手が躍動している姿を見て、嬉しい気持ちはありました」だ。だからこそ、悔しさはなかったのか。それよりも小川は「だったら、俺もやれるだろう」という感覚だった。

「だったら、という言い方はあれですけど、誰にでもチャンスはある、という考えです。しっかり結果を出して、ステップアップすればいい」

この答えを聞いた時、正直に言えば、そう簡単にはいかないだろうと思った。実際、小川も「まあ、それが難しいんですけど」と言っている。

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だが、小川は這い上がってきた。昨夏に横浜FCからオランダのNECに移籍すると、1年目から結果を出す。ここまで公式戦28試合に出場し、12得点・1アシストを記録している。

そして、北中米ワールドカップ・アジア2次予選の北朝鮮戦に臨む森保ジャパンのメンバーに名を連ねた。自身が代表初選出となった2019年のE-1選手権以来、約4年ぶりの代表復帰。まさに“しっかり結果を出して、ステップアップすればいい”だ。

件のインタビューで、小川はこうも語っている。カタールの地で日本がクロアチアに敗れて、ベスト8で散った瞬間...。

「試合後のみんなの表情だったり、日本全体を巻き込んだあのムードを目の当たりにして、自分の中に特別な感情が生まれました。クロアチア戦のあとに、すぐ思ったんです。次は俺だ、俺が点を決めるって」

まずは北朝鮮戦だ。不屈の26歳は出番を得られるか。そして期待に応える活躍を見せられるか。

文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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