【3月19日付編集日記】防災に女性の視点を

 美容室や飲食店の女性トイレで、「ご自由にお使いください」と書き添えられた生理用品に、ピンチを救われた人は少なくない。店で働く女性が増え、困り事に目が行き届くようになったからだろう

 ▼女性のプライバシーに関わる生理用品などを、人目を気にせず手に取れる心遣いは災害時も大切だ。ただ、避難所を運営する責任者やスタッフの多くが男性となることで、女性への配慮を欠くことがある

 ▼能登半島地震では、生理用品などが他の物資と同じように並べられていた避難所があった。男性目線の運営で、人目を気にして受け取りづらい女性がいるかも―との問題意識がなかったのだろう。災害時の女性の生きづらさは過去に何度も指摘されてきたが、いまだ課題となっている

 ▼能登だけの問題とは言えなそうだ。都道府県の防災会議で昨年、女性委員の割合が3割を超えたのは、たった8都県。本県は2割で21位だった。女性の視点が欠落した中で災害が起きれば、県内でも同じ問題が繰り返されかねない

 ▼誰もが安心して過ごせる避難所とするために、防災組織などの女性メンバーはもっと増えていい。一人一人の困り事に気づけるようにすることが多くの人を救う力になる。

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