CERAウィーク、早急な脱化石燃料推進論に相次ぎ反対意見

Marianna Parraga Arathy Somasekhar

[ヒューストン 18日 ロイター] - 米テキサス州ヒューストンで開催されているエネルギー業界の国際会議「CERAウィーク」で、さまざまな石油会社の経営トップが18日、化石燃料依存から早期に脱却すべきだとの意見に対して断固反対を表明し、石油・ガスを他のエネルギーに切り替えるために社会が支払う代償は非常に大きいと訴えた。

BPやエクイノールなどの一部石油大手は再生可能エネルギー事業で減損を計上。クリーンエネルギー移行への道筋が不透明なために、温室効果ガス排出量削減目標を引き下げざるを得なくなった企業も出てきたほか、石油需要は予想外に堅調だ。

こうした状況を踏まえ、エネルギー業界は化石燃料の段階的廃止を求める政府や環境団体などへの反対姿勢を強めている。

サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコのアミン・ナセル最高経営責任者(CEO)は「石油・ガスの段階的廃止という幻想を捨て、(需要を反映する形で)これらに十分な投資をするべきだ」と強調した。

ナセル氏は、電気自動車(EV)や太陽光・風力発電の増加にもかかわらず、今年の石油需要は日量1億0400万バレルと過去最高水準に達すると予想。石油需要が2030年にピークを迎えるとした国際エネルギー機関(IEA)の見通しを否定するとともに、現在の必要規模と価格の両面で、代替エネルギーはまだ化石燃料の座を奪えるとは証明できていないと付け加えた。

ブラジル国営石油会社ペトロブラスのジャン・ポール・プラテスCEOも「拙速に動くか間違った方に向かえば、われわれは決して忘れることができない危機を迎えることになる」と警告し、脱化石燃料を急ぐべきではないとの見方を示した。

ウッドサイド・エナジーのメグ・オニールCEOは、多くの国でエネルギー移行やそのコストを巡る世論の分断が進んでいる点に触れて「議論が感情的になってしまった。そうなれば現実的な話し合いは難しくなる」と語り、冷静な対話を要請。幾つかの新しいクリーンエネルギーの市場が形成され、実際の利用に耐えられると証明されるには20─40年かかる可能性もあるとみている。

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