猫がわざわざ『人の椅子に座りたがる』3つのワケ 愛猫との椅子取りゲームをやんわりと阻止する方法も

椅子取りゲーム?

新型コロナウィルス感染症の流行以来、在宅で仕事をする機会の増えた愛猫家さんも多いのではないでしょうか。在宅でのお仕事は、椅子に座ってパソコンに向かうというスタイルが多いのではないかと思います。

仕事に限りませんが、飼い主さんが長時間椅子に座っていると、そっと愛猫が忍び寄り、椅子の背もたれと腰の隙間に入り込んだり、ちょっと席を外した隙に椅子を乗っ取られたりというような、飼い主さんと愛猫との椅子取りゲームが繰り広げられることが多いです。

ではなぜ、猫たちはこぞって椅子取りゲームに励むのでしょうか。

そこで今回は、猫が隙あらば飼い主さんが座っていた椅子に座りたがるワケを探ってみたいと思います。

猫がわざわざ「人の椅子に座りたがる」ワケ

猫が人の椅子に座りたがるのは、主に以下のような理由が考えられます。

1.縄張りの主張

猫は、個々に自分の縄張りを作ります。外敵が縄張り内に侵入するのを防ぎながら、縄張り内で餌を捕まえて暮らしているのです。

縄張りを主張するために、猫は「ここは自分の縄張りだぞ!」という印をニオイでつけます。体をこすりつけたり爪とぎをしながら、皮脂腺から分泌される自分のニオイをつけるのです。

そのため、飼い主さんが座って飼い主さんのニオイがたっぷり染み込んだ椅子の上に自分も座り、ニオイをつけて「ここは自分の縄張りだ!」と主張しているのだと考えられます。

猫は他者と同じ縄張りを共有することができるため、共有している場所や縄張りの境界線上で、よくマーキングを行います。

もしいつも飼い主さんが座っている椅子の背もたれや椅子の脚などで頻繁に爪をとぐようなら、その椅子を自分の縄張りとしてマーキングしているのだと考えてよいでしょう。

2.温かくて居心地が良い

猫が椅子の上に座りたがるタイミングは、大抵飼い主さんが長く座っている時、または長く座っていて立ち上がった直後であることが多いです。

飼い主さんが長く座っていた椅子の上はクッションが利いており、かつ体温で適度に温められていて、猫にとって居心地の良い場所になっているはずです。

猫は、家の中で最も居心地の良い場所を見つける天才です。つまり、椅子の上が最も居心地の良い状態になったのを見計らって陣取っているのでしょう。まさに、椅子取りゲームですね!

3.飼い主さんにかまってもらえる

たとえ忙しく仕事をしている時でも、愛猫が椅子の隙間に入り込んできたり、ちょっと立った隙に椅子を乗っ取られたりすると、きっと「ダメじゃない、そこは君の場所じゃないよ!」などと優しく声をかけたり撫でたりしてしまうのではないでしょうか。

猫は、長時間自分以外の物に気を向けて、自分の存在を忘れてしまったかのような飼い主さんにかまってほしくて、わざと邪魔をするために椅子を乗っ取っている可能性もあります。

椅子取りゲームをやめさせる方法

愛猫に椅子取りゲームをやめさせたい場合は、椅子を乗っ取った猫に対して叱りつけてはいけません。椅子に乗れば飼い主さんからかまってもらえると学習してしまい、益々椅子に乗ってくるようになるからです。

もし、仕事中に邪魔をされたくないのであれば、椅子に座られても声を荒げずに、ただ黙々と猫を下に降ろして仕事を続けましょう。少なくとも、かまってもらいたくて椅子に乗ってくるということはなくなるでしょう。

ちなみに、猫と椅子に関するエピソードをひとつ。

2015年に、ある会社から珍しいコンセプトのオフィスチェアが発売され、ちょっとした話題になりました。その名も『乗れニャ椅子(のれにゃいす)』です。

肘を乗せないときには肘掛けを上げておいたり、席を立つときには背もたれを前に倒して机の下にしまい込んだりすることで、「猫が乗れないよう設計された椅子」というコンセプトで売り出されました。

発売された当時は大手のネット通販サイトなどでも取り扱っていましたが、発売から10年近く経過した現在では、既に発売が終了しているようです。

結局猫を愛する人々は、猫との椅子取りゲームでの勝利を諦め、その都度最適な方法を選択するという道を選んだ、ということなのかもしれません。

まとめ

もし、在宅ワークの最中に猫が椅子に乗ってくる、ちょっと席を外した隙に乗っ取られるといったことで猫と椅子取りゲームの攻防戦を繰り広げておられるのであれば、諦めた方が良いかもしれません。

猫は、クッションの利いた椅子の上が暖められて居心地良い状態になったことを知っているのです。また、飼い主さんと共有している椅子が自分の縄張りの一部であることを主張したいのです。そして何より、飼い主さんとの椅子取りゲームを楽しんでいるのです。

飼い主さんも、仕事の合間の気分転換だと割り切って一緒に楽しんでしまった方が、精神衛生上良いのかもしれません。

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