Q. 夫の浪費癖を注意するのがストレス…貯蓄を増やすには?

お金や家庭に関するお悩みに専門家がお答えします。今回は「夫の浪費癖がひどく、ストレスで貯蓄が増えない」と悩む女性からの相談です。

お金や家庭に関するお悩みに専門家がお答えします。今回は「夫の浪費癖がひどく、ストレスで貯蓄が増えない」と悩む女性からの相談です。

Q. 夫の浪費癖を注意するのがストレス……貯蓄を増やすには?

パート勤務の36歳女性(ナミさん。仮名)。「小さな子どもが2人います。私は節約を頑張っているのに、夫が非協力的で散財ばかり…それを注意してストレスが溜まります。貯蓄は150万円ほどしかないので、増やさなくてはと焦ります」とお悩みです。

A. 価値観のズレは「仕組み」で乗り越えよう

夫婦のお金についての価値観は、ナミさんご夫婦のようにズレが生じることが、よくあります。 一方が「貯めたい」、もう一方は「全然貯める気がなくて散財ばかり」と、まったく逆を向いてしまう家庭が多々あるのです。 子どものうちなら、親などの大人が言い聞かせて価値観が変わっていくこともありますが、長い人生を生きてきた大人になると、そう簡単に改善はしないもの。その人にとって「それが心地いい状態」なので、改善の必要性を感じないからです。 それでは、いくら注意をしても、大きい声を出して怒っても何も変わらず、むなしくなるだけですよね……。 そこで、解決する方法となるのが「仕組化」です。

お金が貯まる「仕組化」をしよう

当たり前のように散財している人に対して、注意して無駄遣いをやめてもらい、お金を残して貯めてもらうというのは、なかなかハードルが高いですよね。 そこでおすすめなのが、「仕組化」です。先に、貯蓄を確保できる仕組みをつくっておいて、残ったお金をいろいろなものに使い切ったとしても、貯蓄には影響がないような状態をつくるのです。 理想的なのは、夫の勤務先で財形貯蓄があれば申し込んでもらうこと。毎月の貯蓄分が確保されたうえで給与が振り込まれるので、振り込まれたお金を使い切っても、財形貯蓄のお金が残ります。確実ですよね。でも、これは、散財癖のある夫が勤務先で申し込む必要があるので、現実的には厳しいかもしれません……。 それなら、夫の給与振込口座で、自動積立定期預金を申し込むという方法もあります。毎月決まった日に、普通預金から定期預金に自動的に振り替えてもらえるサービスです。ネットバンキングで申し込みができるケースも多いので、例えば夫婦でスマホやタブレット、PCを見ながら、自宅で申し込むことも可能かもしれません。財形貯蓄を、夫に会社で申し込んでもらうより、少しスムーズだと思います。

「貯まる仕組化」は、毎月いくらが理想的?

では、毎月いくら貯めればよいのでしょうか。 理想としては、手取り月収の1割以上ですが、これまで貯蓄をしていないと大きな負担を感じるかもしれません。 その場合は、月1万円から始めるのもいいでしょう。1万円くらいなら「今月は給与が少し少なかったな」というような感覚でいけるかもしれません。 数カ月経って慣れてきたら、2万円、3万円と増やせるといいですね。月日が経つにつれて、いつの間にか数万円、十数万円、数十万円と、どんどん貯まっていきますよ。

「文句を言われるから、貯めよう」と仕向けるのは至難のワザ

とはいえ、話は元に戻りますが、「自動積立定期預金なんて、申し込む必要を感じない」と夫から言われるかもしれません。 そんなときに「うちはこれしか貯蓄がないの!」「お金を貯めないと、大変なことになる」と相手の意識を高めたくなりますが、「そうか、言われてみればそうだね、これから貯めよう」と意識改革が突然起こることは、あまり期待できないでしょう。 「嫌なことが起こらないように、行動を起こす」というのは、なかなか難しく、腰を上げようとしないからです。 そうではなく、「お金が貯まれば、いいことがある」というプラスに考えられる状況をつくるようにするのがコツです。

「欲しいものリスト」をつくり、貯蓄にプラスのイメージを

おすすめは、夫婦で「欲しいものリスト」をつくってみることです。お金があったら欲しいもの、やってみたいことを書き出してみるのです。それを眺めてみると「お金が貯まれば、これが実現できるんだ」→「それなら、貯めてみようかな」という前向きな気持ちになるケースが多いです。 「押してだめなら、引いてみる」のイメージですね。やや遠まわりだと感じるかもしれませんが、「貯めよう」という結果をすぐに求めるのではなく、「なぜ貯める必要があるのか」という理由が腹落ちすることで、その後の行動が変わるかもしれません。 ゆっくりじっくり、夫が自ら散財しなくなるような意識や状況に、夫婦でつくっていけるといいですね。 文:西山 美紀(ファイナンシャルプランナー) 出版社に勤務し、編集・マーケティングに携わった後、フリーライターとして独立。女性誌やビジネス誌などで、貯蓄法や子育てにかかるお金の貯め方などをテーマに取材し、原稿・コラム執筆などを行っている。 (文:西山 美紀(ファイナンシャルプランナー))

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