「次の100年へ新たな一歩」 橋場主将(山田高)、青森県勢初の選手宣誓 センバツ高校野球

開会式で32校の代表として選手宣誓する青森山田の橋場公祐主将(手前右)=18日、兵庫県西宮市の甲子園球場

 「今日からの選抜大会を次の100年へ向けた新たな一歩とするべく、全身全霊をかけて戦い抜くことを誓う」-。第96回選抜高校野球大会(センバツ)で、青森山田の橋場公祐(こうすけ)主将(むつ市出身)が青森県勢として初の選手宣誓を行った。無事に大役を終え「すごく緊張していたので終わってほっとした。満点の出来だった」と笑顔を見せた。

 第1回大会が行われてから100年の節目であることや今後の100年、能登半島地震への思いを込めた。冒頭では「甲子園に対する歴史が込められた曲」と、昨年10月に亡くなったシンガー・ソングライター谷村新司さんが作曲を手がけた大会歌「今ありて」の歌詞を引用した。

 中でも特に力を入れたというのが「唯一無二の仲間」との文言。「高校3年間、野球漬けの日々を過ごす中で、同じ目標を持つかけがえのない仲間」と、チームメートへの思いをつづった。最後は大会の歴史を刻んだ先人に感謝するとともに「これから先の100年、高校野球の歴史をつないでいけるように」と願い「今日までの100年を今日からの100年へ」との言葉で締めた。

 8日の抽選会で大役が決まった後、野球部の脇野浩平部長(34)とともに毎日夕食後に練習を続けた。開会式前日は緊張で寝られなかったというが、本番では穏やかで落ち着いた口調で力強く宣誓し、全国へ感動を届けた。

 三塁側席では父茂樹さん(55)、母絵理子さん(50)、妹の央(まなか)さん(大畑中1年)が橋場主将の選手宣誓を見守った。

 「キャプテンをやらせてもらっているだけでも光栄なのに、100年の節目に自分の子どもが選手宣誓をすることができたのは皆さんのおかげ。下北の子どもたちに夢を与えられればうれしい」と茂樹さん。絵理子さんは「ドキドキしてまともに聞くことができなかった。よくやりました」とねぎらった。

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 選手宣誓全文

 今ありて 未来も扉を開く
 今ありて 時代も連なり始める

 1924年、第1回全国選抜中等学校野球大会として春のセンバツ大会が開催されました。あの日から100年。われわれ高校球児の甲子園大会に対する夢や憧れは、長年の時を超えても変わることなく今もなお夢舞台であり続けています。夢にまで見たここ甲子園球場に立ち、これまでの先輩方が築きあげてこられた歴史と伝統の重さを身に染みて感じています。同時に私たちは唯一無二の仲間とともに大好きな野球に打ち込める「今」に喜びを噛み締めています。

 今年の元日に能登半島沖で大きな地震が発生しました。家族団欒と過ごしている中の激しい揺れに私たちは恐怖と深い悲しみに襲われました。被災地では現在も苦しみや困難の多い生活を余儀なくされています。私たちにできることは、目の前の白球をがむしゃらに追い続けること。そして、全力で野球を楽しむことです。

 今日からの選抜大会を次の100年へ向けた新たな一歩とするべく、全身全霊をかけて戦い抜くことを誓います。

 今日までの100年を今日からの100年へ

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