中村川「特定都市河川」へ 青森県、指定目指す 流域の浸水対策強化 鯵ケ沢町、弘前市と合意図る

大雨で増水した中村川。橋桁に流木がたまり、鉄橋が曲がる被害も発生した=2022年8月10日、鯵ケ沢町

 青森県が中村川流域(鯵ケ沢町、弘前市)について、河川沿いの浸水対策を強化する「特定都市河川」の指定を目指すことが分かった。22日に開く会合で2市町の同意を得た上で指定に向けた協議を進める。中村川が2022年8月の大雨で氾濫し、大規模な浸水被害が同町で発生したことを受けた緊急対策の一環。指定されれば県内初で、県や鯵ケ沢町が行う河川改修工事などで国の補助を得やすくなる。

 特定都市河川の流域では、都道府県や流域自治体が国の補助を受けながら、川底の土砂を取り除いて水位を低下させる「河道掘削」や堤防改修、雨水などを排水するポンプの整備を集中的に行う。

 また、流域で千平方メートル以上の農地などを宅地や道路に転用する際には知事の許可が必要となり、雨水を貯留する施設などの設置も義務付けられる。貯水を妨げる土地開発が制限されるため、浸水被害の軽減につながるという。

 県は22日に青森市で開く「中村川流域治水緊急対策推進会議」で、指定に向けた具体的な手続き方法などを2市町に説明する。

 22年8月の大雨では中村川が氾濫したほか、水路から排出しきれない雨水があふれる「内水氾濫」が発生。国や県、鯵ケ沢町などが被害の防止、軽減に向けた対策を進めている。

 ◇

 特定都市河川 特定都市河川浸水被害対策法に基づき、国や都道府県が各地域の河川流域を指定する制度。水害時に大規模な被害が出る恐れがあり、対策が困難な河川が対象となる。当初は流域の市街化率が約5割に達している必要があり、都市部の河川を中心に指定されていたが、2021年の法改正で要件が緩和され、地方の河川に指定が広がった。3月12日時点の指定数は全国で271河川、東北地方で38河川。

© 株式会社東奥日報社