ルフィ事件「ナミ」と呼ばれた寺島春奈被告(29)が出廷も「無言」貫く…弁護人は「認否のしようがない」と“反論”

金色のインナーカラーがちらりと見えた寺島春奈被告(画:権左美森)

全国で相次いだ広域強盗(いわゆる“ルフィ事件”)のかけ子として事件に関与したとして、昨年5月にフィリピンから強制送還・逮捕された寺島春奈被告(29)の初公判が18日、東京地裁であった。

寺島被告は認否について尋ねられると無言を貫き、今後は「事件へいかなる関与をしたか」について争っていくと見られる。

中学時代の“ドロップアウト”

昨年3月にフィリピン入国管理局が身柄を拘束し、いわゆるマグショットが公開されると、同じく事件に関わり、昨年12月に懲役2年の実刑判決が言い渡されている熊井ひとみ受刑者(26)とともにSNSやネットを中心に「かわいい」「美人」と話題になった。主犯格が「ルフィ」というコードネームを使用していたことから、寺島被告を漫画『ONE PIECE』の女海賊になぞらえ「ナミ」と呼ぶ声まで見受けられた。

寺島被告は長野県出身。報道によれば、祖父と父が教員という真面目な家庭で育ち、中学時代はソフトテニス部に所属していたが、次第に不良グループと関わるようになった。中学校は休みがちになり、進学した高校も中退。上京後はキャバクラ嬢として働いていたという。

弁護人「認否のしようがない」

18日、法廷に現れた寺島被告は上下グレーのスエット、素足に水色の便所サンダルのようなものを着用していた。同じく水色のヘアゴムでひとつに束ねた髪の毛からは、金色のインナーカラーがのぞいている。顔はマスクとフチのあるメガネでおおわれていたが、色白の肌と長いまつげがその“美貌”を思い起こさせた。

認否について無言を貫いた後、検察官による冒頭陳述が行われている最中は両手をビザの上に合わせ、眉をひそめながら沈痛な面持ちで床を見つめていた。

終始うつむいて検察の冒頭陳述を聞いていた(画:権左美森)

検察によれば、寺島被告は警察官などになりすまして被害者に電話をかけ、キャッシュカードなどを盗んだとされる。

これに対して弁護人は「冒頭陳述の内容は被告人が事件にどう関与していたか不明確で認否のしようがない」と反論。検察は事実認定を進めて共同正犯を主張すると見られるが、寺島被告が事件のあった日にどのように過ごしていたのか、その日かけ子をしていたとしても、事件へいかなる関与をしたかによって共同正犯となるのか、まずは法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)で具体的争点を詰めていくという。被告人の次回出廷日は未定。

最後に裁判官が今後の予定について寺島被告に説明する場面では、それまでうつむきがちだった顔を裁判官のほうにしっかりと向けて何度もうなずいていた。

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