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桜の開花が待ち遠しい季節になりました。明日3月20日から二十四節気は春分です。この節の七十二候・初候は「雀始巣(すずめはじめてすくう)」。昼が長くなり、雀が朝から晩まで巣をつくりはじめる頃です。
春分 節の話
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春分の初日は昼と夜が同じ長さになる日。この日を境にだんだんと一日の中での昼間の時間が長くなってきます。草木は芽吹き、花々は咲き匂う、一年の中でも色彩豊かな季節です。この時季の山々のことを 「山笑(やまわら)う」 といいますが、鮮麗な植物の姿を見ていると本当に微笑んでいるように感じます。
山を彩る花として真っ先に挙げる花といえば、やはり桜でしょう。青空に優美に咲き誇る姿は、太陽の光を一心に受け、輝くばかりの美しさです。
桜はバラ科サクラ属。日本には野生種は約十種あり、そこから自然交配や変種、さらに人の手により交配された園芸種を加えると、その数は三百種以上といわれています。
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その中でも代表的な園芸種はソメイヨシノです。ソメイヨシノは野生種のオオシマザクラとエドヒガンの交配種。樹形の美しさや花つきのよさはオオシマザクラの性質、葉がないうちに花を咲かせるのはエドヒガンの性質です。同じ時季に一斉に咲き誇り、散るという、人々を魅了したその性質は、現在、日本にあるソメイヨシノが単一の木から挿し木や接ぎ木で増やされたクローン種であることが大きく関係しています。
桜の香り「クマリン」は外敵から身を守るための毒性成分
この季節のお菓子として代表的なものに桜餅がありますが、塩漬けの葉が桜の香りのイメージという方も多いのではないでしょうか。この香りはクマリンという成分。オオシマザクラの葉で作られることが多いのですが、葉をそのまま嗅(か)いでもほとんど香りません。けれども、葉を破いたり、桜餅の葉のように塩漬けにしたりするとよく香ります。じつは私たちにとってはいい香りであるクマリンは、桜にとっては外敵から身を守る毒性成分。そのため、普段は自分たちには害のない形で葉の中にクマリンを溜めておき、虫に葉が食べられたときなどに香りで放出します。植物たちは自分の身を守るためにさまざまな方法を工夫して生きているのです。毒と聞くとびっくりしますが、桜餅の葉を食べるくらいなら問題ありません。ただし、大量に食べることは控えたほうがよいでしょう。
アトリエの前の緑道は桜並木で、私も毎年お気に入りの場所でお花見をします。普段は穏やかな緑道が大賑わい。薄ピンクのまばゆい桜の木の下で、たくさんの笑顔がはじける風景を眺めていると、何よりの幸せは変わらぬ日常であることを実感します。
【暮らしの手作り】盆栽風お花見アレンジメント
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材料
*本数は目安。花材の状態で適宜変える。
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写真右から
ゼンマイ……5本
コゴミ……3本
シオン……1本
ケイオウザクラ……2本
マーガレット……1本
エンドウマメの花……1本
リューココリネ……2本
菜の花……3本
ナズナ(タラスピオファリム)……1本
バイモユリ……1本
グリーンベル……1本
用意するもの
山苔
フローラルフォーム
活ける器
花バサミ
カッター
作り方
1. フローラルフォームに吸水させ、活けたい器の大きさに切って器にはめる。
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2. ケイオウザクラを高低差を出しながら4、5本に切り分け、器の中心よりも少し後ろに挿す。
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3. ケイオウザクラの手前に少し低めの高さで菜の花を挿す。
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4. ケイオウザクラと菜の花のまわりにリューココリネ、グリーンベル、バイモユリ、ナズナを挿す。
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5. エンドウマメの花やマーガレット、シオン、ゼンマイ、コゴミなどの背丈の低いものを挿す。
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6. フローラルフォームを隠すように山苔をのせてでき上がり。
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日本の園芸文化の一つとして、草木の自然な姿を小さな世界で表現する盆栽があります。少々敷居が高そうですが、和食器とフローラルフォームを使えば手軽に盆栽風が楽しめます。花器にしたのは、おせち料理などに使う二段重ねの蓋つきの器。穴がない入れ物で、フローラルフォームを入れることができればどんな器でも活けられます。
この季節は足元の植物も可愛らしい頃。アレンジではシダ植物の新芽のコゴミやゼンマイなどが地面すれすれから顔を出す様子も再現しました。山苔をあしらえば、さながら春の森のようです。
【書誌情報】 『二十四節気 暦のレシピ』 猪飼牧子・清水美由紀 著
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古くから季節を表す言葉「二十四節気 七十二候」をテーマに、季節の移り変わりを花や植物で感じながら、ものづくりの楽しみを提案。小さな変化を繰り返しながら、季節とともに四季をたどっていく植物。その時季の植物をアレンジメントや料理やおやつに生かしたり、心と体を健やかするハーブやアロマを活用したり、ちょっとしたおもてなしの小物をつくったり。二十四節気を植物とものづくりで体感できるアイデアとレシピ120を紹介します。
関連サイト
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