米で気候変動情報開示の新規則、会計事務所と助言会社の顧客争奪戦か

Ross Kerber

[18日 ロイター] - 米証券取引委員会(SEC)が6日、上場企業に対して温室効果ガス排出量など気候変動関連の情報開示強化を義務付ける新たな規則を採択した。今後は各企業の適正な報告を支援するサービスに対する需要が高まり、この分野で4大会計事務所と、気候変動対応を専門的に助言する会社との顧客争奪戦も激しくなりそうだ。

SECの試算では、新規則採択に伴って上場企業がそうした外部のサービスに支出する金額は年間で最大9億0700万ドル、現在の水準に比べると18%増えることになる。

4大会計事務所の一角を占めるアーンスト・アンド・ヤング(EY)のグローバル副会長エイミー・ブラチオ氏は、新規則で必要な報告書類の準備に向けて「われわれの助けを求める顧客は増える一方になると見込んでいる」と述べた。

ブラチオ氏によると、現状はほとんどの排出量関係の報告は企業の最高持続可能性責任者が取り仕切っているが、これからは最高財務責任者(CFO)に責任者が代わり、彼らは会計事務所との共同作業に慣れているという点が、会計事務所が案件を獲得する上での利点になり得るという。

一方多くの企業は既に、持続可能性に関する報告でこの種の情報を自主的に開示しており、そうした情報に「お墨付き」を与えてもらうために起用しているのが専門の助言会社。テネオの調査によると、そうした専門助言サービス市場で最も大きなシェアを握っているのはアペックス・カンパニーズとERM・CVSの両社だ。

ERM・CVS幹部のベス・ワイク氏は、顧客は200を超えていて、その大半が上場企業だと明かすとともに、米国や他の国・地域で新しい規則が導入されるのに伴って顧客数はさらに増加すると予想している。

ワイク氏は、SECの方針を受けて上場企業がERMのような専門会社を起用するのがより簡単になってきたとも指摘した。

こうした中で会計事務所と専門会社の競争が、アップルを舞台に早速見られるかもしれない。アップルは監査法人としてEYと契約しているが、最新の気候変動関連情報の報告作業でアペックスを雇ったからだ。

今回新たにそうした報告を作成しようとする企業は会計事務所に頼る可能性がある一方、アップルのような企業は別の判断をするのではないかとの声も聞かれた。

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